季刊まちりょくvol.42
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7公開と貸し出しに至った経緯 館山甲午氏は生前、10年ほどの年月をかけて、自宅で多くの平曲をカセットテープに吹き込みました。 これを仙台市に寄付、テープは視聴覚教材センターにて保管されることとなります。センターではまず、音源が損なわれることのないよう録音されていたものすべてのデジタル化(CD化)を行いました。 しかし平成12年9月末に視聴覚センターが閉館。機能や資料は、後継となるせんだいメディアテークへ移管されましたが、引っ越しや職員の異動により、この平曲資料はたくさんの資料の中に埋もれてしまいます。 平成28年、市民の方より問合せを受け、改めて資料の存在が確認されました。市民にひろくこの存在を知ってもらおうと、メディアテークでは資料の再整理を開始。混然となっていた音源を、それぞれ何を語ったものなのか、どのような順番に整理すべきなのか調査すると同時に、ノイズの除去や、欠けていた部分を補修する音の修復を約5年かけて行ってきました。 平曲は全てあわせると200曲にも及びます。たくさんの音源を確認していくと、このうち、全曲通して録音されていたものは約160曲分、途中までのものだったのが30曲分あることがわかりました。 甲午氏の弟子の一人である山内とも子先生の力を借りて、曲の判別や内容の文字起し、また欠けている部分を含む別の録音の調査などを行い、専門家のみならず広く物語として親しめるよう準備を進めてきました。状態の良い部分を一曲につなぎ合わせたものもありますが、実際には一部を省略して唄うこともあるということで、欠けたままの状態で貸し出しをすることになったものもあります。 こうして最終的に貸し出し可能になったものは192曲。令和2年12月より、これらすべてがせんだいメディアテーク・映像音響ライブラリーの一角に並んでいます。 また、音源を修復する際には、後からどの部分をどのように編集したのか分かるように資料を残しています。鑑賞するためだけではなく、後世の調査・研究でも元の状態を支障なく確認できるよう、さまざまな活用を見据えた注意を払い、作業が行われています。

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