季刊まちりょくvol.42
6/62

4仙台市生まれ。3歳よりクラシックバレエをはじめる。金井利久、齋藤和美、峯岡比呂美らに師事。クラシックバレエの講師として活動。同時に、持ち前の好奇心を道しるべに、境界を越えて映像、美術、音楽、テキスト、非日常空間とのコラボレーションを試みるダンサー。振付家。「からだとメディア研究室」代表、NPO法人バー・アスティエ協会理事。千葉 里佳 ちば りかち上げた「からだとメディア研究室」の舞台だ。もっと多様なダンス、踊り、身体表現に触れたい。そして“せんだいメディアテークにダンスをインストールしたい”と、自ら企画した「から研ダンスフェス」は、ほぼ毎年6月にオープンスクエアで開催してきた。ようやく公募作品だけで色々な表現を観ることが出来そうな手ごたえがあった2020年の公演。ギリギリまで開催を模索したが、結局は中止となった。 コロナ禍においても受け持っていたバレエクラスはなんとか続いたが、発表会は延期や中止に。目標を見失い、家と職場の最低限の往復をする日々。人と会うときにどんな表情をしていたか分からなくなったという。先が見えない中、正解が分からない中で、肌の感覚がどんどんかすれていくようだった。 改めて自分の身体に意識を向けたことで、気づいたこともある。自分らしく、自由に踊ってきたようで、どこかで求められていることを意識して、自らに枠を設けていたこと。どこかでいい人、格好いい奴を演じていたこと。それが正解なのか、どうなのか。気づいてしまったから、これまで通りにできるはずがない。2021年の6月、再び会場を予約した。 久しぶりの公演に向けて、意気込みはありますかと伺うと、うーんと口ごもる千葉さん。未来がいかに不確かなものであるか、この一年身をもって知った。どう出来るかは、わからない。 それでもふたたび、千葉さんはせんだいメディアテークに「ダンスをインストール」する。不透明な時代、手探りをしながら、しかし一歩ずつ。千葉さんはこれからもステップを踏む。*…JCDN(NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク)が主催するダンスプロジェクトのひとつ。コンテンポラリーダンスの普及とダンスアーティストの育成などを目的として、国内各地で開催された。いくつものクラシックバレエ教室の講師を務める千葉さん。「不要不急な行動の自粛」が叫ばれる中、自分を必要としてくれる生徒たちに救われた。

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る