季刊まちりょくvol.42
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スタッフらと使用できる会場探しに奔走した。 国分町のすぐそば、裏路地にふっと現れる元鍛治丁公園。開けたスペースの奥には、三日月が描かれた野外ステージが設置されている。震災直後の6月、舞台として選んだのがここだった。左右に楽屋をつくり、観客席に椅子と机を並べて、3日間限りの劇場をつくりだす。車や街の喧騒、風、そして観る人も自由に出入りする空間で踊るのは初めてだった。「どうして劇場にこだわっていたんだろう?って思いました」。踊る場所に制約はない、どこででも踊れるんだ、と新しい景色が開けた。 ダンスの捉えかたがさらに拡がったのは、コミュニティダンスとの出会いだった。最初は見知らぬ人同士、年齢も性別も職業もバラバラだった人たちが集い、踊ることでコミュニティが出来てゆく。その光景に、千葉さんは心動かされた。どんな人も、踊るようにできているのだと思った。「ダンスってDNAに組み込まれているんじゃないかな」。千葉さんは嬉しそうに語る。 最後に訪れたのはケヤキ並木がガラスにうつりこみ、定禅寺通りとシームレスに繋がるせんだいメディアテーク。用途によってさまざまに表情を変える1階の広々としたオープンスクエアは、震災後ダンス公演やワークショップの企画制作を行うために立3誰もが自由に出入りできる公園での公演。スタッフは機材を守るために公園に泊まったのだそう。生活だけでなく、考え方も変わった今回のコロナ禍。先行きの不透明さに楽観視はできない。

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