季刊まちりょくvol.40
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41969年福島県生まれ。調理師、出版社・書店勤務等を経て、2000年に古書店と喫茶が融合した「book cafe火星の庭」を開店。店内でライブや美術作品の展示を行うなど街の交差点的な役割も果たしている。「Book! Book! Sendai」の立ち上げメンバー(2008年~)としても活動。book cafe 火星の庭〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町1−14−30022-716-533511:00~19:00(当面の間18:00閉店)前野 久美子 まえの くみこニューアルした大きなガラス張りの建物には、明るく開放的な雰囲気が漂う。前野さんがよく利用していたころは今とは大きく異なる空気の流れる建物だった。でも、そんなところも良かったと前野さんは笑顔で当時を振り返る。「こういう、発着する場所って固定された場所よりも流動的。こじつけかもしれないけど、本を読むというのは自分が今いるところから別なところにいく一種の体験なので、本を開くっていう行為が、駅やバスセンターとリンクするような気がしているんです」。「街自体の流動性がとても大きくて、絶えず変わっていくのが仙台の特徴だと思います。積み重なる長い歴史や文化を大切にしつつ、都市生活を担うために変わらざるを得ないところ、どちらも肯定していきたくて。私はもうお店を構えちゃっているので、どうやって自分と店が、そうした仙台という街と関係していけるかなということをよく考えますね」。より良い風景を目指して柔軟に変わりつつも、それをも飲み込んだ連続性をつくり上げていく難しさ。前野さんは今日もあちこちへの「旅」を通じて、その道を探っている。*Book! Book! Sendai 「街を歩いて本と出会う」ことをテーマに、2008年より前野さんと詩人の武田こうじさんが主宰する市民活動団体。*一箱古本市 Book! Book! Sendaiの活動のひとつとして2009年から2015年までサンモール一番町で開催された。段ボール一箱分の古本を持ち寄り、各自「屋号」と値段をつけ販売をした。新幹線を見つけ、蛇みたい!と声を上げる前野さん。特に変化の大きい東側の風景を眺める。建て替え前の仙台高速バスセンター。(提供:宮城交通株式会社)

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