季刊まちりょくvol.40
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●ZINEを取り扱う理由 イベント発起人が、元々自身でつくった物語を手製本にする活動を行い、東京の文芸イベントへ出店しておりました。そこには自由につくられた本がたくさんひしめきあって、作り手がすぐそこにいて、熱気があり、とてもおもしろく感じていました。宮城にはアマチュア文芸作家が自身の作品を発表する場がなく、その場所をつくりたいという思い、また、宮城の街中のみなさんに自由につくられた活き活きとした本を紹介したい思いがあり、今のイベントにつながりました。●ZINEの魅力とは? 「どんなものにしても自由」なところがあると思います。大きさも、形も、厚みも、仕掛けも。簡単なつくりのものでも、凝ったものでも、なんでもありで、作り手の個性がそのまま出てくるおもしろさがあります。印刷会社さんが提供されているサービスもかなり充実していて、実際に書店で流通していそうな本に仕立てることもでき、それは「自分の本を本屋の棚に並べたい」夢を子供の頃から持っていたなんていう方には、ぐっとくるものがあると思います。「カルミラ族の末裔」 著作:伊藤裕美 発行:2017年7月うつくしい吸血族たちのゴシックロマン。ふたりの人物の手記を行き来して進行する物語、それを反映した装丁。暗い赤の表紙に黒と金の印刷、赤の箔押し。語り手によって変わる書体。世界観を本の形で表現しており、物質としての物語も堪能できる。なにもかもうつくしいです。著者の刊行10周年記念の作品でもあり、文芸の創作をつづけてゆくことへの著者の思いが記されているあとがきにも胸を打たれる本です。「砂漠にて」 著作:五十嵐彪太 発行:2009年10月手製の豆本。砂漠にまつわる小さな物語が5編収められています。表紙は布張りで、本文は裏移りのしない厚みのある、ブルーグレーの用紙です。小口の化粧断ちはうつくしく、しっかりと丁寧につくられており、糸で綴じられた本は開きもよく、ちいさいながらに広げて読みやすいものとなっています。「英単語も学べる超短い物語集 超短語カード2」 著作:紙男、かくらこう、ナヲコ、水島一輝、制作:シキシ文藝 発行:2019年9月単語帳サイズの本。表には英単語、裏にその単語(日本語)を使用した140字ほどの物語が記されています。今作は4名の作家が2人ペアになってお互いに単語を出題して、それに応える形で物語をつくっています。単語帳のようにバラバラに綴じられたページ。文章の雰囲気から、それぞれの物語がどの作家のものなのか、考えるのも楽しい一冊です。開催期間:2020.9.11-13主な開催場所:https://bkhuntersendai.jimdofree.com/およびnoteにイベン トページを設置し、TwitterとInstagramで随時情報を公開取り扱うもの:①インディーズブックのウェブ販売サポート(販売のやりとりは売主が直接行います)、②アートとコトバのコラボリレー企画、③ブクハン図書室、④架空読書会、⑤575言葉遊び、⑥書を持って、町へ出よう(詳細は上記ウェブサイトをご確認ください)―今回、COVID-19の影響で対面イベントを中止としました。そのため、予定していた企画をウェブ上で9月末まで展開しています。全企画終了後、それらをまとめた小冊子を作成して、秋頃に仙台市内で無料配布する予定です。文芸や、本をつくること、ものづくりのおもしろさを、少しでも、仙台に暮らす本好きな方たちに届けられたらと思います。ブックハンターセンダイZINEに出会 16これまでに出会った印象的な ZINE

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