季刊まちりょくvol.39
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35講師などが次々と登場します。絵本のスライドやギターの生演奏も使いながらテンポよく進行する不思議な物語は、改めて死者とのつながりを思い起こさせるような作品でした。 「壊れる水」(演劇『祝/言』より 作・演出長谷川孝治)は、青森の劇団「弘前劇場」によるリーディング公演。「祝/言」の要素を再構築する形で上演が行われました。映像と文字の投影を効果的に重ねることで、3人が朗読する言葉の断片から様々な感情が呼び起こされる作品となりました。 それぞれの作品が初演からどのように変化し、どのような思いのもとで再創作されたのか、各作家にインタビューも行っています。各作家のインタビューは10-BOXの公式HPからぜひご覧ください。(https://www.gekito.jp/?pg=1581563039) 上演後のトークセッションでは、上演を行った3名の劇作家をお招きし、震災から今に至る時間の流れの中でどのように表現と向きあってきたのか、また今回の上演にはどのような思いを込めたのか、実際にお話を伺い、来場者との意見交換を行いました。終了後には芋煮を囲み交流会も実施。作家や出演者、来場者が直接意見を交換し共有できるまさしく「フォーラム=広場」となりました。 この原稿を執筆している5月13日現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け全国で多くの公演が中止を余儀なくされました。10-BOXをはじめ県内の様々な文化施設も臨時休館となっています。感染被害を受けた方々、また感染拡大防止のために日常活動の制限を余儀なくされている方に心よりお見舞い申し上げ、一刻も早い収束を願います。人と人とが直接隣り合えない「非接触」の環境であっても、今後の「仙台舞台芸術フォーラム」では舞台芸術を通してどのような「思い」の共有が可能で、どのような交流ができるのか―この「広場」の在り方について考えていかなければいけないと強く感じています。文・せんだい演劇工房10-BOX 岩村 空太郎「壊れる水」 (撮影:岩渕隆)交流会トークセッション

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