季刊まちりょくvol.39
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34 東日本大震災後の舞台芸術に焦点を当て、2019年度から2021年度の3ヵ年にわたり開催する「仙台舞台芸術フォーラム」。オープニングイベントとして2月15日・16日の2日間にわたり、東北で活躍する3人の劇作家が、それぞれ震災後に創り出した戯曲を現在の視点で再編成した作品の上演を行いました。 本事業は、震災当時の舞台芸術の「記録」ではなく、劇作家や舞台芸術関係者の「記憶」や「思い」の部分に目を向けようという試みです。震災後に創作された作品の再演を通して、震災に対しての様々な思いがあり、それがどのように変化したかを劇場で共有し、人と人とが意見を交換し交流するものです。 2011年3月11日。当時私は京都で暮らしており、部屋の小さなテレビから津波の映像を見ていました。95年に起こった阪神淡路大震災の記憶がよみがえると同時に、一方で経験したこともない大きな災害を呆然と見ていることしかできませんでした。その記憶を引きずって、その年から舞台芸術に接し始め、その感触が少しずつ形を変えていく中、5年前に仙台にやってきました。そういった個人的な経験もあり、当時の様々な思いが演劇を通して表現されることの重要性を感じています。 「はなして」(作・演出生田恵)は、2012年初演の際には1人芝居でしたが、今回は子育て中の母親たちが子どもと一緒に「見守る人」として舞台上に登場しました。戯曲は同じにもかかわらず、新たな意味合いが加わる作品として再創作されました。 「徒然だ」(作・演出なかじょうのぶ)は、劇団三ヵ年計画による2015年初演の演劇作品を再構成したドラマリーディング。演劇ユニット石川組も加わり、オレオレ詐欺と老婦人、胡散臭い絵画「はなして」 (撮影:岩渕隆)「徒然だ」 (撮影:岩渕隆)会期:2020年2月15日(土)・16日(日)   両日とも14:00開演  会場:せんだい演劇工房10-BOX仙台舞台芸術フォーラム 2011→2021東北オープニングイベント仙台舞台芸術フォーラム 2011→2021東北オープニングイベント事業レポート会期:2020年2月15日(土)・16日(日)   両日とも14:00開演  会場:せんだい演劇工房10-BOX

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