季刊まちりょくvol.38
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68 2019年12月7日(土)、8日(日)、日立システムズホール仙台 シアターホールで行われたミュージカル公演には、10代から70代まで、年齢も経験も様々な市民54名が出演した。この日は彼らにとって、一年以上積み上げてきた努力と挑戦の日々の集大成だった。 ミュージカル参加者募集の情報を発信したのは2018年9月のことである。前年に事業団設立30周年記念事業としてオリジナルミュージカル「仙台ねこ」の上演を終え、再び市民参加型のミュージカルに取り組むこととなったのだ。仙台を中心に活躍するスタッフ陣が関わることをアピールした結果、60名近い応募者を得た。 そしてオーディション。全員が個性的で存在感があり、一分間の自己PRで確実に印象を残した。一人ひとりは濃くて面白いが、果たしてまとまるのだろうか? と思ったりもした。 間を置かず10月末から週一回のレッスンが始まった。ミュージカルには歌・ダンス・演技の三要素が必要不可欠だ。脚本や音楽が完成するまでの間、基礎的な身体訓練、発声、歌練習、芝居稽古など、舞台に立つためにやっておくべきことはたくさんある。三要素すべてが得意な人は稀である。みんな苦手なものと闘った。自宅や職場で、開始前の稽古場で、自主練習に励んだ。時間や課題を共有するうちに全員がまとまりはじめ、大きなひとつの輪がつくられていくように感じた。 5月、脚本を渡された時のみんなの表情が印象的だった。ワクワクとともに、目標が定まった安心感。それぞれに秘める野望もあったかもしれない。とにかく、とてもいい顔をしていた。演出は「みんなを輝かせたい!」と言った。その想いを受け止めるメンバー、支えるスタッフたち。場全体が前向きなエネルギーに包まれた。各時代に流行した音楽・ダンスをメドレーで魅せるオープニング「ケヤキ食堂」名物の唐揚げが時代を越えて人々をつなぐ会期:2019年12月7日(土)、8日(日) 会場:日立システムズホール仙台 シアターホール劇都仙台ミュージカルシアター公演事業レポート「おかえり、ケヤキ食堂」

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