季刊まちりょくvol.38
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41962年仙台市生まれ。東北学院大学在学中に劇団「十月劇場」に入団、俳優、舞台美術、照明などを担当。大学卒業後、フリーの舞台スタッフとしてさまざまな現場経験を積み、1996年「シアター・ムーブメント仙台Ⅰ」への参加を機に舞台監督を志す。「東京バレエ団」海外公演の随行などさらに研鑽を積み、2003年「有限会社舞台監督工房」設立。仙台を拠点にバレエ、コンテンポラリーダンス、演劇、ミュージカル、オペラ、能、クラシックコンサートなど、国内外の幅広い舞台芸術作品に携わるほか、「せんだい演劇工房10-BOX」「能-BOX」の管理・運営も請け負っている。日本舞台監督協会会員。石井 忍 いしい しのぶ*シアター・ムーブメント仙台1996~2001年に実施された(公財)仙台市市民文化事業団・仙台市主催の演劇プロデュース公演事業。東京と仙台の演劇人による滞在型コラボレーションによる本格的な演劇公演を行い、多くの人材を輩出した。の2県を残すだけとなりました。「舞台監督工房」の設立は、劇都仙台構想の立役者で、当時仙台市職員だった佐藤浩康さんから「仙台のために、舞台監督の会社をつくってくれないか?」と言われたのがきっかけでした。それまでは仙台に強くこだわっていたわけではありませんが、今では、外に出て経験してきたことを持ち帰り、自分たちで試行錯誤しながら実践できる場がある、そんな仙台がありがたいと思うようになりました。 「舞台監督の仕事は良い意味での他力本願と減私奉公だと思います。そして今ここに自分たちがいられるのは、これまでに出会って力をくださった方々のおかげです」と、石井さん。舞台に関わって40年。とにかく現場が面白くて、求められたことをなんとかカタチにしてきた、その積み重ねで今があるというその眼差しは、「さらに面白い舞台」を求めて、ずっと先を見つめています。劇場は「人」。使い手に寄り添い、一緒に作品を創ってくれるスタッフのいる劇場は、現場の雰囲気も、仕事の質もぐっと上がる。ここ「楽楽楽ホール」もそんな劇場の一つ。取材後は、行きつけの居酒屋「いき粋R」へ。舞台監督は、出演者やスタッフが、安全に、気持ちよく役割を果たすことができるよう、舞台の全責任を担う厳しい仕事。だからこそ、現場独特の緊張を解きほぐす場所や時間を持つことも、長く仕事を続けていくコツかもしれない。

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