季刊まちりょくvol.38
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 転機となったのが1996年「シアター・ムーブメント仙台*I」への参加でした。周りからの勧めもあり、石井さんは東京の第一線で活躍していた舞台監督のやまだてるおさんのもと舞台監督助手を務めました。やまださんから「もし本当に舞台監督になりたいんだったら、東京で揉まれたほうが良い」と言われて、一念発起。東京、さらには海外で、バレエやオペラの大規模公演での経験を積んでいきました。大劇場でも、小劇場でもやりくりや工夫は一緒。無理難題を突き付けられても、「できない」ではなく「どうしたらできるか」を考える、その抽ひきだし斗の多さが舞台監督の仕事の要だと、先輩から教わりました。 以来、舞台監督として全国各地で活躍する石井さん。仕事で訪れたことのない都道府県は島根・鳥取仕事で訪れる地方都市でも、こういった昔ながらのまるで舞台装置のような横丁にはついつい足を運んでしまう。長町にあるバレエスタジオ「Kae Ballet Classic」主宰 岡村佳恵さんと。「石井さんは、やりたいことを汲み取って形にしてくれる、頼りになる存在」、「佳恵先生は、無理難題で(笑)、一緒に夢を見させてくれる方です」。ご近所ならではのつながりが、より充実した舞台を生んでいる。太白区文化センター前にて。「街の中に人が集う劇場があって、その非日常の空間で笑顔になれる人が増えたら、日常も変わるかもしれない。そう思うからこそ、日々、力を尽せるんです」。3

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