季刊まちりょくvol.38
14/88

――5月のエリーザベト国際コンクールからすぐに仙台に来て、とてもご多忙だったと思います。その後はいかがですか? 少しリラックスできました。ヴァージニアでのハイフェッツ夏季国際音楽セミナーでアーティスト・イン・レジデンスとして演奏したり、かなり久し振りに香港にある父の実家に行ったりもしました。その他では10月にハイツ室内管弦楽団とドヴォルザークのロマンスとチャイコフスキーのワルツ=スケルツォを共演しました。年末にはカーネギーホールでハイメ・ラレード先生の指揮で以前メンバーだったニューヨーク・ストリング・オーケストラとチャイコフスキーのコンチェルトを弾きます*。――ハイフェッツの名前が出たので伺いますが、お好きな、あるいは尊敬するヴァイオリニストはどなたでしょう? 私の師であるデイヴィッド・ナディアン(ニューヨーク・フィル元コンサートマスター)ですね。聴くのが好きなのはジャニーヌ・ヤンセンやアマンディーヌ・ベイエなどです。個性的でありつつ、かと言って自己主張が強かったり表現過多ではなく、音楽の中にあるものをしっかりと引き出す力を持った演奏家が好きです。――日頃演奏する際の心構えや、自分でこう演奏したいというヴィジョン、理想は? 冷静かつ焦点の定まった演奏をすること。集中し他のことに気を紛らわされないというのが理想的です。――オフの時間はどう過ごされているのですか? 泳ぎに行ったり語学の勉強をしたり。ドイツ語や中国語、それに日本語も。ひらがなとカタカナが少し読めるだけですけどね(笑)。――6月のリサイタルのプログラムは6曲もの華やかなラインナップですが、これはどのように? 近年演奏している中で好きなものをまとめてみました。あえてバラエティ豊かに揃えてみようと、このように並べてみたんです。順番だけは先生に相談しました。――あるインタビューで、今お好きな作曲家はシューベルトとバルトークと仰っていましたね。シューベルトのオリジナルは今度のリサイタルには入っていませんが、代わりにシューベルトの《魔王》に基づくエルンストの大奇想曲が予定されています。この超難曲をシャノンさんはデビュー・アルバム『イントロデューシング・シャノン・リー』のために2007年に録音されていました。 そうなんです。そしてバルトークのソナタはインディアナポリスのコンクールで演奏した時の思12シャノン・リーインタビュー 2聞き手・文:松本 學(音楽評論家)「何よりもまた日本に戻って来られる機会を得られました」 “あのコンクールはあなたに何をもたらしましたか?”との質問に、第7回仙台国際音楽コンクールからちょうど半年を経た2019年12月、東京交響楽団と共演するために再来日を果たしたシャノン・リーは、こう答えてくれました。

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る