季刊まちりょくvol.37
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12う精神を大切に、利用者一人ひとりのお話を聞きながら活動をしてきました。柴崎:私も大学では美術史の勉強をしていたのですが、近現代の名を残したアーティストよりも、無名の人たちの表現に関心がありました。人は生きていくなかでどのように表現を必要としてきたのか、また、表現を通して自分のアイデンティティがどのように立ち上がっていくか、ということに関心を持っていたんですね。縄文土器の文様論の研究にはじまり、リサーチを進めていくなかで、子どもや障害のある人の表現に出会いました。そして、大学4年生の時、障害のある人の芸術文化活動によって社会づくりを提案する「たんぽぽの家5」の思想や現場に触れたいと思い、この世界に飛び込んでいきました。菊地:高校生のとき、ジャズフェスの事務局をしていた親父に頼まれて、ジャズフェスのボランティアをしたのがきっかけです。音楽は好きだったけれど、ボランティアには全く興味がなくて、正直「面倒くさいな」と思ったのですが、参加してみたら思いのほか楽しくて、翌年から実行委員会に入り、やがて事務局を担うようになりました。それから数年経って、2001年に「とっておきの音楽祭」を実施することになった時、ジャズフェスでの経験を活かせると思い、事務局を担うことにしました。 決して収入が良いわけではないですし、最初は10回までやったら今後のことを考えようと思っていたのですが、……なんで続けているんでしょうね(笑)。でも、最初は音楽祭だけでしたが、10周年のときにはアートに力を入れてみたり、ここ数年は仙台市と新しい事業をNPO法人とっておきの音楽祭障害のある人もない人も一緒に音楽を楽しみ、音楽のチカラで「心のバリアフリー」を目指す音楽祭「とっておきの音楽祭」(2001年~)を開催するほか、障害のある人が音楽やパフォーマンスを表現する楽しさを知ってもらうための活動、障害のある人とない人が相互理解するための活動に取り組んでいる。http://totteokino-ongakusai.jp/菊地新生さんNPO法人とっておきの音楽祭 事務局長 「とっておきの音楽祭」フィナーレ(勾当台公園市民広場)“とっておき”の体験イベント「TAP」(錦ヶ丘ヒルサイドモール)

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