85分断は解消されていく。現代は古代よりも情報化が進み、互いに開示されることが多くなったが、肝心の心は閉ざされるようになってしまった感がある。そんなことを考えさせられる公演内容だった。 新しい表現方法を探り、新しい出会いを求めて劇場を出る、それは相当な冒険だっただろう。しかし、その冒険はシアターラボに新しい刺激と更なる創造性を与え、劇場に戻った時には、劇場以外での公演の経験が今までにない新しい劇場の使い方のアイデアを生み、そして、今まで劇場に来たことのないたくさんの新しい観客を連れて戻ってくる、そんな可能性を感じた。 終演後の美術館の佐々木克館長と代表の野々下孝さんのアフタートークでの、演劇という表現を美術という表現者の視点から見た感想も興味深く面白かった。作品に対する意見交換が出来るこのような試みは、作り手と観客との距離を近づけるのにとても有効だと思った。 シアターラボの新しい表現を求めて劇場を出るというスタイルには、ジャンルの境界を越えた新しい出会いと、演劇というジャンルにとらわれない新しい表現の可能性が感じられる。これからもシアターラボの演劇への挑戦を通じた新しい観客との出会いと、劇場以外の劇空間としての発掘の可能性を期待したい。しかし、そんな実験的な活動は収支の面でリスクがかなり高いことも確かである。新しい表現を生み出す活動の一方で、その活動を支援する仕組みもなければならない。劇場を飛び出したシアターラボなら、この活動を継続するため、表現者だけではなく企業や自治体などの行政も巻き込んだ仕組みづくりが出来るかもしれないと期待させられる公演だった。*6月16日(日)13:30~の回を鑑賞〈公演情報〉2019年6月15日(土)~16日(日)会場/秋保の杜 佐々木美術館原作/旧約聖書 テキスト/大信ペリカン(シア・トリエ)構成・演出/野々下孝(仙台シアターラボ) 出演/野々下孝 渡邉悠生 宮本一輝 蒼井彩乃(以上仙台シアターラボ) 佐藤隆太(シア・トリエ) 千石すみれ(三桜OG劇団ブルーマー)照明/麿由佳里(シア・トリエ) 舞台美術/渡邉悠生 宣伝美術/三月文庫制作/宮本一輝 製作/仙台シアターラボ※本作品の韓国での上演が決定しました。詳しくはP.4428をご覧下さい。写真提供:仙台シアターラボ
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