季刊まちりょくvol.36
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14 ただ交流するだけではなくて、とにかく「モノ」をつくろうと考えて活動してきましたが、船、木道、とつくる度に達成感がありました。今年つくった木道は、対岸でものをつくっていくための第一歩として、まず「風景のなかに一本の線をひいた」というイメージです。実際に歩いた方の反応も良くて、「歩いてみて気持ちがよかった」「続けてほしい」といった声が聞かれました。今回は、「八大龍王碑」まででしたが、なんとかもう一つの「愛林碑」まで木道をつくりたいです。こういった一つひとつの活動は、いわば「点」を置いていく作業です。この先2年間くらいは、ゲストなども招きながらこのような活動を続けていきたいと思っています。 新浜町内会のみなさんにとって、最初の1、2年は、僕やスタッフたちは「よそ者」だったかもしれませんが、特にこの1年は、僕自身のこと、またアートについてもいろいろと勉強してくださっていて、プロジェクトについてもそれぞれ主体的に考え始めてくれている、そういった感触があります。それはとても大きなことですね。 最初は、新浜、荒浜、井土浜といった区切りでとらえていましたが、そうではなくて、沿岸部は貞山運河が中心にあって、それぞれの地域がつながっているのだと考えるようになりました。ただ、地域によってアクティビティや条件は異なります。例えば、今回あらためて訪れた荒浜は、行政による整備が進んでいる一方、個人でオルタナティブに活動している人たちもいることに興味をもち 今年の滞在の最終日にあたる7月28日(日)には、せんだいメディアテークで活動報告と参加者との意見交換を行いました。貞山運河全体を見渡した船溜まりの整備や、かさ上げ道路と海岸堤防の高さを超えて、海と町を両方見渡せる物見台など、大胆なアイデアが飛び出したミーティング。ここでは、会場や同日行われたインタビューでの川俣さんの言葉をご紹介します。「みんなの橋プロジェクト」を語る滞在制作を振り返って貞山運河の可能性写真:渡邊博一

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