季刊まちりょくvol.35
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6移転開館記念特別展では写実画の第一人者、森本草介の所蔵作品23点と、親族から借用した2点の計25点を紹介。画業が時系列で紹介され、一貫した写実への執着のなかにも、その筆致や表現の変化を見てとることができる。1点1点に、妻と娘のコメントが寄せられているのも嬉しい。 エール蔵王島川記念館を前身とし、より多くの方に身近に美術と触れ合っていただく機会を提供したいという思いから、本町に移転オープンした島川美術館。仙台駅から徒歩圏内と格段にアクセスがよくなりました。カフェとショップのある1階で受付を済ませて階を上がると、2階から5階の4フロアにわたって島川隆哉氏(株式会社ジャパンヘルスサミット代表取締役)の蒐集したコレクションがずらりと並びます。 島川美術館の特徴は、まずはコレクションの幅広さ。特定の作家やジャンルを紹介する美術館が多いなか、日本画・洋画・樂茶碗・陶磁器・西洋ガラスなど、ジャンルにこだわらず幅広く収蔵し、総数は900点を越え、現在も増え続けているといいます。そのコレクションの核をなすのは、横山大観・加山又造・平山郁夫・東山魁夷・森本草介といった明治から現代に至る美術史を彩る画家たちの作品群。このほかにも高橋由一、青木繁、速水御舟、梅原龍三郎、安井曽太郎など、誰もが一度は見聞きしたことのある画家の名が続きます。 これだけ聞くとちょっと気遅れてしまいそうですが、館長の太田勇さんは優しくこう言います。「この絵が好き、この絵がきれい、といったように自分の好みで見ていただいていいんですよ。まずは肩肘張らず、気軽に見に来てください」。前身の記念館の立ち上げから長らく館の運営に携わってきた太田館長ですが、実は、それ以前は特別に美術の勉強をしたことはなかったのだそうです。ご自身も、好きな画家や作品を手がかりとして制作の背景や来歴を調べていくうちに、美術の面白さに魅了されていったとのこと。そんな経験を持つ館長だからこそ、多くの人に美術の魅力を伝えたいという思いは人一倍強いのです。島川美術館2019年3月オープン

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