ての評価を着実に高めてきた伊藤さんですが、実はこの時期、制作に行き詰まりを感じていたともいいます。写真家としてのオリジナリティを追い求めるなかで、そもそも「自分らしさ」とは一体何なのか、そのこと自体を疑うようになっていました。自分が写真で切り取った世界をまた別の手法で解体・再構築することで新しい表現を見出す試み「DECONSTRUCTシリーズ」など、自身の固定概念を取り払うためのさまざまな実験を重ねる一方で、オリジナリティを極力排し、匿名性の高い写真を撮る「仙台コレクション」を始めたのでした。この両極端ともいえる作業を同時に行い始めた当時の心境を、「制約の中から自由な視点が出てくるんじゃないか。仙台コレクションは、そういうことを試す場でもあったのかなと思います。一種の反動だったかもしれませんね」と伊藤さんは振り返ります。仙台コレクション「No.00001 宮城野区榴岡5丁目」「実はこの辺りはけっこう撮っていたのですが、6×7判のブローニーで撮ったのはこれだけだったと思います」「この神社は撮影した記憶があるな、誰が撮ったんだっけ?」と写真集を広げて探す伊藤さん。時間が経つと匿名性が際立ってくる。二十人町・鉄砲町は、2002、2003年に仙台コレクションのメンバーで手分けして撮影した思い出の場所。区画整理を経て当時の面影がすっかり失われてしまったなか、唯一仙台コレクションに収められている和光神社を見つけるも、鳥居の向きは変わり、隣にあった鉄砲町集会所はもうなくなっていた。『仙台コレクション Vol.1~3』vol.1は2005年、vol.2は2007年に刊行。2019年にvol.3が刊行されたばかり。3冊で計6,000点の写真が掲載されている。3榴岡天満宮の神主さんが場所を教えてくれたが、街の風
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