季刊まちりょくvol.34
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12 ヴァイオリン部門は新たにセミファイナルでコンサートマスターとしての演奏が加わりました。世界的に見ても珍しい試みです。第1回(2001年)の頃から世の中も変化していて、これまでの入賞者もコンサートマスターとして活躍されている方が多い。ソロだけではなく、アンサンブルも弾ける、次の世代につながる才能発掘という意図が込められています。コンサートマスターのソロを、オーケストラの中で他のパートを聴きながら、どうコミュニケーションをとり演奏し、聴衆に訴えていくか。セミファイナルはとても面白いのではないかと思います。 出場者のレベルは高く、オリンピックに出場するようなもの。課題曲も多く、リサイタルやコンチェルトのコンサートが2、3回開催できるくらいレパートリーを持った方でないとチャレンジできません。予選で落ちたとしても、とてもすばらしい技量の持ち主なのですが、仙台国際音楽コンクールはハイレベルのため、さらにその上がある。聴いているとだんだんと感覚が麻痺してきますね。 クラシック初心者の方におすすめは予選です。3日間開催され、その日のチケットを持っていれば、自分の好きな時間に訪れて聴くことができます。クラシックは敷居が高い、よくわからないという声を聞きますが、「わかる、わからない」ではなく、その時間を「楽しかった」「いい時間を過ごした」と思えたらいいのではないでしょうか。皆さんが気にされる咳も、出やすい時は端の席に移動したり、演奏がフォルテの時にすればいい。拍手もタイミングがわからない時は、様子を見て2、3秒遅れてすればいいのです(笑)。コンサートではなくコンクールなので気軽に訪れてほしいですね。 以前とは異なり、これまでクラシック音楽とは無縁と思えた国からのエントリーがありました。最近はアジア系の勢いがあり、10年後は今とは違ってくるかもしれません。音楽を通して世界各国の事情が見えてきて面白いですね。また予備審査には12~14歳の若い方もエントリーされていました。予選を勝ち抜いてきたらとても楽しみです。澁谷由美子仙台国際音楽コンクール運営委員会副委員長/ヴァイオリニスト「音楽を通して世界が見えてきます」

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