季刊まちりょくvol.34
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10⇒P.8から続く 数多くのコンクールがありますが、仙台国際音楽コンクールは、特色をはっきり出している珍しいコンクールですね。アンサンブルの力を重要視し、コンチェルト(協奏曲)を課題曲の中心に据えています。オーケストラが一緒のコンクール開催はとても大変なことだと思いますが、ピアノ部門の出場者はステージが進めばコンチェルトを経験できます。若い音楽家たちがこのコンクールにチャレンジする意味がそこにあると思っていることはとても素敵だと思います。 第4回(2010年)優勝者のヴァディム・ホロデンコさん、第5回(2013年)の優勝者のソヌ・イェゴンさんは、ともに仙台国際音楽コンクールの後にヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝されています。このヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールは、世界ツアーを行える才能を探しているレベルの高いコンクールです。連続して優勝者を輩出している仙台国際音楽コンクールは、しっかりした実力を持った方を見出しているのです。 コンサートは誰が何を演奏するか事前にわかっていて聴きに行くものですが、コンクールは次々に演奏者が登場し、様々な曲を披露します。自分が予期していないものと出会える「出会いの宝庫」です。自分の耳で新しい才能を発見する楽しさがあり、そのプロセスは普通のコンサートとは違います。 音楽は、作品に込められた意味や、作曲家の人生を知っていると、より感動できて面白さが増えていく分野ですが、最初は知識がなくとも、心を揺さぶられるものがあればいいのです。予選が一番楽しいかもしれませんね。一人ひとりの演奏時間は短いので、長い時間はちょっと…という方でも聴きやすいでしょう。 コンクール期間中、1曲でも「いいなぁ」という演奏に出会えたらと思っています。そのような瞬間に立ち会えると、人生の楽しみが増えます。高坂はる香音楽ライター/編集者「コンクールは『出会いの宝庫』です」仙台国際音楽コンクールの特色と魅力について

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