季刊まちりょくvol.33
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59 その1つの試みとして「縄文人の記憶の宴」があります。この事業は、もともと縄文時代の楽器やまつりについて、調査・研究して復元しようというもので、2006年の開館まもなくしてスタートした事業でした。研究を積み重ねてきましたが、その成果を小さく発信するだけではもったいないと感じ、専門家だけではなく、音楽や演劇など様々なジャンルの方や市民団体の方たちと一緒に作り直して発信したら、クリエイティブで、全国的にも面白い取り組みになるのでは、と考えました。 縄文時代の音楽は?縄文時代のまつりは?この問いは、考古学者が最も苦手とする質問です。なぜなら、遺跡を発掘して立証できないことだからです。一方、芸術に携わる人たちは、縄文時代についてそれぞれ異なるイメージがあって、泉が湧き出るように新しいアイデアが生まれてきます。時には、専門家としてストップをかけたこともありますが、バランスを取りながら、巨大火起こしや縄文楽器の演奏など、新たな視点で「縄文のまつり」をつくりあげることができました。 まつりに使う草舟をみんなで作り上げて、それが宴の場で大きな炎を上げて燃え上がり、縄文人が祈りを捧げるシーンは、一人ひとりが縄文時代について異なる感じ方をしてくれただろうと思います。 そう、遺跡や過去を見る視点は1つでなくていいのです。個々の思いや経験をもとに楽しんでもらえたらうれしいです。     文・仙台市縄文の森広場 佐藤祐輔ベンガラを塗って縄文人に変身厳かな雰囲気の中に包まれる子ども縄文人日暮れとともに続くシャーマンの祈り活動の中で作りあげた縄文太鼓これまでの開催2016年 3月19日(土)    10月22日(土)2017年10月21日(土)2018年10月20日(土)

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