季刊まちりょくvol.33
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41962年、北海道ニセコ町生まれ。東北学院大学卒業。有限会社荒蝦夷代表。作家・エッセイスト。フリーライター・編集者を経て2000年から『別冊東北学』の編集を担当。2005年、有限会社荒蝦夷を設立し、雑誌『仙台学』『震災学』や「叢書東北の声」シリーズを刊行。同社は2012年、梓会出版文化賞の新聞社学芸文化賞を受賞。著書に『ユージン・スミス楽園へのあゆみ』(偕成社)、『てつびん物語阪神・淡路大震災ある被災者の記録』(偕成社)、『ケンタウロス、走る!車いすレーサーたちのシドニー・パラリンピック』(文藝春秋)、『震災編集者—東北の小さな出版社〈荒蝦夷〉の5年間』(河出書房新社)など。読売新聞読書委員会委員。土方 正志 ひじかた まさし大学時代から変わらない金港堂本店。今でも大切に持っているのが『SWITCH』。「ヒットする前のブルース・スプリングスティーンを取り上げた渋い特集。あの頃はまだメジャーではなく知る人ぞ知る雑誌で、仙台ではここでしか買えなかった」。されたりして。編集者冥利に尽きます」と顔をほころばせます。 東日本大震災の直後には、地元の出版社として何ができるかと、地元出版界の仲間たちと話し合い、ブックフェアやトークイベントを開催。そして震災から6年目の2017年、実行委員会を立ち上げ、温めていた「仙台短編文学賞」*2を設立しました。作品一つひとつから「震災の経験を自分の中でどう解釈し、心の中に落ち着けようとしているかが見えてくる」と話す土方さん。その語り口に、これからもこの地で生まれる「ことば」を大切に育てていくという静かな決意がのぞいて見えました。自著最新刊は25年振りの復刊となる全国即身仏紀行の増補決定版。「基本やっていることは今も同じ。現場に行って、取材をして、お酒を飲んでゴロゴロして(笑)」。お寺の方々は代替わりしていましたが、土方さんを覚えていて大歓迎してくれたそう。*1 ラーハウザー記念東北学院礼拝堂は、1932年に土樋キャンパスに献堂され、2014年に国の登録有形文化財に登録されました。*2 仙台・宮城・東北の地から次の世代の文学が生まれることを願って設立された文学賞。ジャンル不問。日本語で書かれた自作未発表の小説に限り、仙台・宮城・東北となんらかの関連がある作品が対象。震災10年となる2021年まで開催。詳細はhttps://sendaitanpenbungak.wixsite.com/award『新編 日本のミイラ仏をたずねて』 土方正志著 2018年、天夢人刊

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