季刊まちりょくvol.33
44/76

42art reviewやんや 「鍾しょうき馗さまぁ〜」 「ぐぅ〜、むにゃむにゃ」 「鍾馗さまぁ〜、来ませんねぇ」 獅子(尾暮祐樹)と鍾馗さま(小畑次郎)の脱力コント。平和な世に鍾馗さまが活躍する出番はない、と仙台藩のお抱え絵師・東あずまとうよう東洋が描いたトホホ顔の「鍾馗図」を読み解く。間のいい掛け合いでギャラリーは温かい笑いに包まれる。福島美術館で行われた『鳥屋のらく°ご』のギャラリー小噺の一幕だ。展示品から発想した寸劇で謔味に溢れた作品の魅力を引き出し、蒐集家・福ふくしまていぞう島禎蔵氏の洒落好みなセンスに気づかされる。 「こてんらく°ご」の部では、狛はくろうぼう狼坊イチローの「まんじゅうこわい」。怖いものなんかないと生意気風を吹かす源さんだが、饅頭が怖いと白状する。仲間がとっちめてやろうと枕許に饅頭を山ほど置くと、「怖い、怖い」と言いながらペロリと平らげてしまう。赤羽織で威勢の良い語りは、運動部の部室を覗き見るようなノリの良さだ。 北海亭さくらの「狸の札」は、子狸が恩返しに貧乏男の借金を返そうとお札に化けて…という話。トントントン「たぬぅ×△す」と訪ねて来た子狸の狸語(?)が愛らしく、さくらの軽い語り口に馴染んでいる。 トリは尾暮祐樹の「崇すとくいん徳院」。恋わずらいで寝込んだ若旦那の思い人を「瀬をはやみぃ〜岩にせかるる滝川のぉお…」と、崇徳院の歌を手がかりに熊さんが江戸の床屋や湯屋を探しまわる。つっころばしの二枚目の若旦那が柔らかで可笑しみがある。床屋まわりで髭を当たりすぎピリピリするほっぺたで人捜しする熊さんのご苦労な様子も愉快。 今回で3回目となる『鳥屋のらく°ご』は、在仙の劇団に所属する落語好きの演劇人が集い2年ほど前からはじめた落語会。どうして「らく°ご」なのか?代表の鳥とりや屋ん朝あさひ陽こと白鳥英一さんは「プロとして落演劇人が魅了された落語の世界鳥とりや屋のらくºご@福島美術館すずき佳子(学芸員、伝統芸能・話芸愛好家)

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る