季刊まちりょくvol.32
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89解説する山中先生 一方、小学生以上のクラスでは、未経験者か否か、低学年か高学年かで教わるレベルも変わり、初めての子どもたちには扇の開閉の仕方から能の座り方まで手取り足取りお稽古をつけます。それに対して、リピーターの子どもたちは年を重ねるごとに難しい曲目にレベルアップしていきます。 この「こどものための能講座」の大きなポイントは、それがマニュアル化した講座ではなく、山中先生による「稽古」である点です。山中先生はたくさんの、そしてさまざまなタイプの子どもたちを預かるうえで、すべての子どもたちに対応できるマニュアルでは内容や指導が薄くなるため、「授業」ではなく「稽古」を信念に指導していると述べています。そして、それは単に「教え」るのではなく、「教え」ながら「育てる」師弟関係を意識しているとのことです。それゆえに、山中先生の講座は「わかりやすく」「楽しく」も厳しく叱るシーンが多々みられました。 「遊びもあれば、叱りもします。忘れないで欲しいから、どちらもおもいっきりです。人生に一つの記憶が生まれて、いつかそれを次世代に語った時こそ、それが伝統となります」(当日プログラム 山中先生「ご挨拶」より)。今年で8回目を迎えた「こどものための能講座」ですが、今後もこの事業を通して次世代を担う子どもたちに伝統に触れる機会を提供し、またそれを受け継いでもらえるよう取り組んで参ります。文・せんだい演劇工房10-BOX 渡邉直登会期:お稽古 7月28日(土)~8月3日(金)、    8月7日(火)~8月9日(木)   発表会 8月10日(金)会場:能-BOX発表会修了証授与式

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