季刊まちりょくvol.32
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2 連日の暑さ続く中、一息つける曇り空の日。本日は宮沢橋のたもとからスタート。挨拶が終わるやいなや「ここは雀がよく見える場所なんですよ」「この桜、立派でしょう。〈我が家の桜〉と勝手に言って愛でています」と、たちまち瑞知さんのペースにひきこまれます。 広瀬川沿いの遊歩道は瑞知さんの通勤路。自転車で走りながら季節の移り変わりを楽しみます。平行して国道が走りますが、車の喧噪は聞こえず、かわりに鳥のさえずりや川のせせらぎが耳に優しく届きます。歩いて初めてわかる、まちの姿です。 瑞知さんは今年6月に惜しまれつつ閉館した映画館・仙台セントラルホールの支配人でしたが、その他にもラジオのパーソナリティ、まち歩き案内人、杜の都の演劇祭制作スタッフ、元青葉まつり専任委員など、多彩な顔をお持ちです。自称「ミーハー」。色々なことを少しずつ「点」で覚えるのが好きで、「あれ」と「これ」をつなげると面白いのでは?と「妄想」を膨らませるのが楽しいと笑います。 日頃もルーティンに縛られないよう、意識的に色々なことを選択するよう心掛けているとのこと。引き出しが多い理由はこのあたりにありそうです。 日常にある「違和感」にも敏感。学生時代の通学路途中の通りにくい三角地帯を「めんどくさい」と感じていましたが、大人になり、まち歩きの師匠・木村浩二さん(元仙台市文化財課職員)に聞いてみると、昔のまちなみが関係していることがわかり、「めんどくさい」には理由があるのだ、面白い!と思ったそう。「僕はめんどくさいことから何かを見つける専門家」と胸を張ります。 徹夜で開催準備に奔走した「青葉まつり」は、勤務先だった「菓匠三全」の業務で関わったのがきっかけでした。それまではほとんど興味を持たなかったそうですが、各地に出向き、祭りの先達から話を聞家を探している時に紹介された広瀬川沿いの物件。尊敬するさとう宗幸さんの「青葉城恋唄」、小学時代のヒーローだった落語家・林家三平の住まいと同じ町名「根岸」に運命を感じたそう。「ご縁」はのがしません。劇団I.Q150主宰の丹野久美子さんに「はめられて」杜の都の演劇祭に出演したことも。「丹野久美子さんは〈欽ちゃん〉。素人を出して、想定外の愉快を見い出します」。(杜の都の演劇祭「イサムよりよろしく」2014年1月)

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