季刊まちりょくvol.28
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87 演奏に戻って話を続けると、私はyumboの演奏をライヴで聞く度に、「曲」が生々しく立ち上がってくることに圧倒される。どのメロディ、ハーモニー、リズム、ノイズもひとしく光源となり、楽曲の輪郭を露わにさせる。既存曲の単なるリプレイ(再演)ではない。この夜もまた、満員の会場の中、静かな熱に満ちた一回限りの演奏が繰り広げられた。 披露された新曲のうち、「衝突トリロジー」として紹介された「わたしの3分前」「他人の家」「蛇からの手紙」は内側に篭る熱の強さが特に印象的だった。中でもホーンセクションによる軽快なフレーズが鮮烈な「蛇からの手紙」は、続けて演奏された「薬のように」と並んで本編終盤のハイライトとなった。「衝突」で生まれた熱を、観客一人一人に手渡す姿。その姿、その熱の強さに胸がいっぱいになる。アンコールでは『鬼火』Disc1、1曲目の「悪魔の歌」が奏でられ、この記念すべきライヴは幕を下ろした。『鬼火』リリース・ライヴ 仙台日時:7月23日(日)19:00開場/19:30開演会場:Cafe Mozart Atelier(仙台市青葉区米ケ袋1丁目1-13)出演:yumbo(澁谷浩次・高柳あゆ子・工藤夏海・芦田勇人・皆木大知・山路智恵子)ゲストプレイヤー:遠藤里美 (biobiopatata, sekifu, 片想い)、てんこまつり (biobiopatata)、佐藤ゆか (inochi)、猿田真樹子撮影:藤野耕太郎撮影:細谷修平

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