季刊まちりょくvol.25
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21 アインシュタインは「問い」が大切だと言いました。翻ひるがえって現代の日本では、課題を解決するための「答え」がとても重要視されています。そうした商品やサービスが身の周りにあふれています。しかし、東日本大震災があって、その便利な生活は一旦ストップしました。その時、我々が瞬間的に頼りにしたのは自らの力と、身近にいる人の力、そして昔から受け継がれてきた生活の知恵や技術、すなわち生活文化でした。 2017年2月から始まる企画展では、特に舞台芸術で作品をつくる手法を用います。まずはワークショップを行い、それをもとに作品を制作し、展示で発表する予定です。そこで今回は、その作業の心強いパートナーとして演出家・ダンサーの西さいかいし海石みかささんをお招きすることができました。 西海石さんは「からだ」の視点から、震災直後より現在まで、障がいを持つ人や子どもといった、社会的立場の弱い人と向き合う活動をして来られました。また、アフリカや中米などでの生活経験も豊かで、そこで培われた知見と経験が、様々なレベルの違いを乗り越えて交流しようとする我々の試みに、必要な推進力を与えてくれると確信しています。 まだ、どのような作品がつくられるかは実は白紙です。ですが、たとえ言葉が通じない赤ん坊や海外の人でも、老若男女を問わず誰もが関りを持てる「からだ」を通して、震災で大きな被害を受けたこの土地の「これまで」にまなざしを向け、「これから」を問う作品を一緒につくります。

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