季刊まちりょくvol.25
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14楽しみつつ、伝えていく メモリアル交流館では、2016年の7月から10月にかけて、企画展・せんだい3.11メモリアル交流館を囲む風土展「夏の手ざわり 秋の音」を開催しました。 東日本大震災の津波被害により、仙台東部エリアは甚大な被害を受けました。そこに住んでいた方々のお話に耳を傾けるうちに分かってきたのは、暮らしていた場所の唯一無二の地域資源の存在でした。そうした、「暮らしてきたからこそ紡ぐことができた生活文化」を住民の言葉をもとに記録したのが「RE:プロジェクト」(2011~2015年度実施)の取り組みです。今回の展示では、その「RE:プロジェクト」を含めこれまでの取材で語られた言葉を再構成し、改めて仙台東部エリアに刻まれてきた暮らしの姿を共有する場を設けました。 この企画展の関連プログラムとして、地域の皆さんと一緒に体を動かしながら、地域に刻まれてきた暮らしの知恵と技を学ぶためのさまざまなイベントも用意しました。 「食べられる生き物を探しに行くツアー」では、地元の方々から「昔は貴重なタンパク源だった」と聞いたザリガニ、ドジョウ、イナゴを自分たちで作った道具を使って捕まえました。参加した子どもたちは夢中になって生き物を捕まえるだけでなく、「ザリガニって本当に食べられるの?」「どうやって?」と、昔の子どもたちが当たり前にしていたことにも興味津々でした。 また、「盆ござ編み講座」では、お盆に飾る盆棚に敷く「盆ござ」をマコモ(イネ科)を使って編む方法を地元の女性たちに教えていただきました。マコモは、かつては至るところに生息していたそうですが、震災の復旧工事が進むにつれ、用水路がどんどんコンクリート化され、マコモの採取そのものが難しくなっていることに気づきました。田澤 紘子(せんだい3.11メモリアル交流館)「かかわる、ひろげる」~地域資源を生かした交流事業 盆ござ編み講座

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