季刊まちりょくvol.24
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4福岡県飯塚市出身。全日本学生音楽コンクール西部地区第2位受賞。桐朋女子高等学校音楽科に入学し、前橋汀子、篠崎功子、斎藤秀雄の各氏に師事。桐朋学園大学音楽学部卒業。1975年、西日本新人演奏会でテレビ西日本賞受賞。1976年からアメリカ・ニューヨークのジュリアード音楽院に留学、ジョセフ・フックス、フェリックス・ガリミアに師事。1979年に帰国し、翌80年、宮城フィルハーモニー管弦楽団(現・仙台フィルハーモニー管弦楽団)に入団。その後、2002年に退団するまでコンサートマスターを務めた。現在は各地で演奏活動を行うほか、洗足学園音楽大学等で後進の指導にも当たっている。仙台市市政功労者。渋谷 由美子 しぶや ゆみこ園内では多くの子どもたちが動物の絵を描いていた。小さな子どもたちにもヴァイオリンを教えている渋谷さん、サル山の前で筆を走らせる少年をしばし見守る。にベビーシッターを頼みました。プロのシッターさんじゃなく、ピアノを教えている方などにお願いして。一緒に歌をうたったりケーキを作ったり、自分の子どもみたいに大事にしてくれて。皆さんの力で大きくなりました」。子どもの成長は早い。いつの間にか手を離れ、ともに過ごした時間も記憶のひとこまとなる。そんなふうに、この動物園でもたくさんの思い出が育まれてきたのだろう。 園内をひととおり回ってゲートに戻ってきた。「大人になってからも、たまに来るのはいいですね」という渋谷さんの言葉に共感。 後進の指導にも力を注いでいる渋谷さんは、この取材の数日後には東京で、またそれを終えた後は台湾に飛び、1週間にわたってレッスンを行う予定だという。今日は、多忙なヴァイオリニストに束の間でも「夏休み気分」を味わってもらえただろうか……。そう思いつつ、蝉時雨の中、渋谷さんを見送った。2013年、宮城県女川町「女川いのちの石碑」の除幕式にて。

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