季刊まちりょくvol.24
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12 仙台市市民文化事業団は、「豊かな市民文化の創造」をめざして1986年に仙台市が設立した財団であり、文化における市民のチャレンジを後押ししてくれる組織の誕生は、当時大きな期待を持って迎えられました。そして翌年、「仙台市婦人文化センター(愛称:エル・パーク仙台)」が開館。現在の仙台三越定禅寺通り館(当時はファッションドーム141)5・6階に位置する市の文化施設で、当時の管理運営は市民文化事業団でした。200席規模の貸しホール(劇場)を2つ持つことから、生活文化関連の事業に加え、演劇・音楽・舞踏などの開館記念事業が組まれており、その中の「大野一雄舞踏公演」に舞台監督として関わらせて頂いたのが、市民文化事業団と私の「出逢い」だったと思います。終演後は晩翠通にあった「あべひげ」で打ち上げ。画家の宮城輝夫氏をはじめ、各分野で活躍する仙台市内外の方々が大野氏を囲み、熱い酒宴が深夜まで続きました。オープン以降もエル・パーク仙台は舞台技術講座の継続などによって、徐々に市民の芸術文化拠点として認知され、活用されていきます。思えば携帯電話もパソコンも普及していなかった30年前、人と人が出逢い、何かが新しく始まる具体的な「場」の存在は、今よりずっと重要でした。 ファッションドーム141全体も、再開発ビルとして多様な文化イベントを仕掛けたり協賛したりしていく中で、在仙ジャズ・メン達による「LIVE141 Jouzenji St. Jazz Festival」がエル・パーク仙台で始まり、新たな展開を模索する中で「音楽は本来野外でやるもの」と外へ飛び出し再スタートしたのが、今も続く「定禅寺ストリートジャズフェスティバルin仙台」です。1991年の初回は事業団にも共催と協力をお願いし、定禅寺通周辺で25グループが演奏、26年目となる今年は760グループと、信じられないくらい大きく拡がりました。その後も定禅寺通界隈では、市民の力によって「とっておきの音楽祭」「JAZZ PROMENADEinSENDAI」「仙台ゴスペル・フェスティバル」などの音楽祭が次々と生み出されていきます。 エル・パーク仙台で1994年に始まった事業団主催「スタジオ・プロムナード」では、舞台監督と一部の制作を年8回5年間担当させて頂きました。この事業は施設の立地環境やホール機能を踏まえた月例の連続イベントで、エフエム仙台の板橋恵子氏が準レギュラーで進行を担い、音楽・美術・演劇・映画から、演芸などの芸能的な分野まで、できるだけ幅広いジャンルの文化芸術を紹介する試みでした。想い出深いのは「筒美京平の音楽」という回。歌謡界No.1のヒット・メーカーを題材に据え、榊原光裕氏のピアノ伴奏で、仙台で活躍する演劇人・フリーアナウンサー・映画人・編集者・プロデューサーなど、幅広い分野の方々約20名に、思い入れのある筒美作品を歌ってもらうコラボエル・パーク仙台開館以来、定禅寺通界隈で始まったこと、広がったこと高橋 清博(オフィスQ代表、プロデューサー)お祭り、イベント制作プロデューサーとして、定禅寺ストリートジャズフェスティバル、とっておきの音楽祭、仙台・青葉まつりなど、仙台を拠点に全国に発信する幅広い分野の制作活動を精力的に続けている。市民文化事業団とともに仕事をしてきた方や、ゆかりのある方々に、それぞれ専門のお立場からご寄稿いただきました。

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