季刊まちりょくvol.24
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10 自己紹介の折や出身地を尋ねられた際、「仙台出身です」と伝えると、ほとんどの方は「仙台はいいところですね」と応えてくれる。私もそう思っているし、多くの仙台市民もそうだと思うが、他地域の人々も同じように好印象を感じてくれる。「せんだい」というひびきには、何かしら言いようのない魅力があるのかもしれない。新幹線仙台駅ホームで、発車のたび流れるようになった「青葉城恋唄」のメロディを聴き、なお一層そんな感慨に耽ったりする。 仙台市市民文化事業団が今年設立30年を迎えた。30年という歳月には、10年、20年の節目とは違う歴史の重みめいたものを感じるし、「立派な大人に成長したなー!」という実感も覚える。事業団が仙台市における文化事業のかけがえのない推進力となっていることは周知のとおりだが、20数年前にお付き合いをはじめた頃に比べ、事業の量も質も、格段に高まっていると思う。 市民文化事業団との最初の関わりは、平成7年に開催された「第2回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」だった。コンクールの運営に直接タッチすることはなかったが、協賛事業をいくつか実施することになった。中でも思い出すのは「市民のためのチャイコフスキー連続演奏会」である。この企画は、作曲家チャイコフスキーの音楽と人物像を市民の方々に知っていただくことにより、コンクールに興味関心を深めてもらうことが目的だった。平成7年2月から12月まで月1回、違った構成演出のもと10回連続で開催し、演奏会の模様はNHK仙台放送局がすべて収録し、総合テレビ、BS、FM等で放送した。「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」は諸般の事情により継続できなかったが、この時の経験やノウハウは、平成13年度にスタートする「仙台国際音楽コンクール」へと引き継がれていくことになる。⇒P.8から続く仙台市市民文化事業団30周年に寄せて伊深 久男(前NHKプラネット東北支社長)NHK入局後、仙台、山形、東京で勤務。主に公開番組、美術展などの企画運営に従事。NHK退職後、2008年よりNHKプラネット東北支社長。2012年退社。仙台市市民文化事業団評議員。現在は65歳から始めた絵画を楽しんでいる。

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