季刊まちりょくvol.22
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16中村紘子『チャイコフスキー・コンクール ピアニストが聴く現代』(1988年、中央公論社) 1965年、ショパン国際ピアノコンクールで入賞して以後、ピアニストとして演奏活動を続けるとともに、数多くの国際コンクールで審査員を務める著者。本書は、1986年のチャイコフスキー国際コンクールピアノ部門における1か月にわたる審査の体験をもとにした長編エッセイ。大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。中村紘子『コンクールでお会いしましょう ―名演に飽きた時代の原点』(2003年、中央公論新社) 音楽コンクールの歴史から現在の状況、また、実際に多くの人に足を運んでもらいたいとの願いからピアノコンクールの聴きどころ、魅力が語られています。著者いわく、コンクールは「クラシック音楽の感動を共有したいと願う人々が一つに結ばれている場」。仙台のコンクールも名前が登場しています。諏訪内晶子『ヴァイオリンと翔かける』(2000年、日本放送出版協会) 著者は、1990年、チャイコフスキー国際コンクールで最年少優勝を飾ったヴァイオリニスト、諏訪内晶子さん。3歳でヴァイオリンを手にし、日本国内のコンクールをはじめとしてパガニーニ、エリザベート、そしてチャイコフスキーと、数々の大きな国際コンクールに挑戦し続けた日々の思い出が綴られています。吉原真里『ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール 市民が育む芸術イヴェント』(2010年、アルテスパブリッシング) 2009年、辻井伸行さんが優勝し話題となった、第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールについてのドキュメント。出場者や審査員、事務局へのインタビューなどのほか、副題の通り、このコンクールの特色でもある市民ボランティア、地元コミュニティの力にも注目し紹介しています。伊熊よし子『ショパンに愛されたピアニスト ダン・タイ・ソン物語』(2003年、ヤマハミュージックメディア) 前回(第5回)から仙台国際音楽コンクールピアノ部門の審査委員を務めるピアニスト、ダン・タイ・ソンさん。ベトナム戦争の戦禍を避け、防空壕の中で紙の鍵盤で練習したという少年時代。その後モスクワに留学し、1980年にはショパン・コンクールでのアジア人初の優勝を遂げます。本書は、その激動の半生を、音楽ジャーナリストである著者が物語風に著した評伝。ダン・タイ・ソンさんは仙台のコンクールをどのように評するのか、注目です!堀米ゆず子『ヴァイオリニストの領分』(2015年、春秋社) 著者の堀米ゆず子さんは、第2回仙台国際音楽コンクールからヴァイオリン部門の審査に携わり、今回(第6回)は審査委員長を務めます。ヴァイオリニストとして世界中を飛び回り、また2人の子を持つ母として多忙な日々。その出来事の合間に、仙台を含めたコンクールの採点事情や、東日本大震災後に初めて仙台を訪れた際のことなども綴られており、著者の仙台への思いを感じる一冊です。~コンクールを楽しむためのブックガイド~  音楽家が見たコンクールの裏側や、実際にコンクールの舞台に立った思い出が綴られた本、また、今回の仙台国際音楽コンクールに関わる演奏家についての本を集めてみました。これらを読めば、仙台のコンクールをよりいっそう楽しむことができるかもしれません!『クラシックソムリエ検定公式テキスト』(2013年、ぴあ株式会社)「クラシックソムリエ検定」用のテキストと銘打たれてはいますが、音楽の歴史や作曲家のトリビアなどが満載の、読んで楽しいクラシック音楽入門書。コンクールに足を運ぶ前の予習にぴったり!クラシック音楽初心者の方に最適の1冊!読むコンクール

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