季刊まちりょくvol.22
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11 通常オーケストラでは序曲、交響詩、交響曲などオーケストラだけで演奏する曲が多くありますが、それとは別にひとつの楽器にスポットを当てて、その楽器の独奏をオーケストラが伴奏する形で書かれたものが協奏曲です。作曲家は同じ時代を生きた名人と言われる人の演奏に触発されて協奏曲を書いていることが多く、その中でも花形なのが、表現力が豊かで演奏の可能性が大きい楽器であるヴァイオリンとピアノの協奏曲です。 オーケストラの伴奏で協奏曲を演奏するには相当演奏能力に長たけた人でなくては出来ませんし、実際に演奏する機会も限られます。ですから若い演奏家にとってはオーケストラの伴奏で協奏曲を演奏できるのは非常に貴重な機会と言えます。世界の他のコンクールでは本選の最後に協奏曲を弾くケースがほとんどですが、仙台のコンクールではファイナルはもちろん、セミファイナルでもオーケストラと共演ができるのです。それがこのコンクールの大きな特徴となっていて出場者にとっても大きな魅力だと思います。(村上満志さん)仙台国際音楽コンクールではセミファイナルから協奏曲が課題曲となりますが、そもそも「協奏曲」って何ですか? ヴァイオリン部門の予選は室内オーケストラの伴奏で行われますが、指揮者はいません。出場者に求められるのは、後ろで伴奏している室内オーケストラをまとめる力があるか、また伴奏している室内オーケストラの音楽的内容を把握してソロを演奏しているか、などで、演奏を楽しむとともに、その点を注意して見ていただくと良いと思います。 フルオーケストラの伴奏で行われるセミファイナル、ファイナルでは、ベートーヴェン、メンデルスゾーンなどオーソドックスでベーシックな曲をきちんと演奏できるか、またテクニックを要求される難しい曲を技術だけではなく、いかに音楽的に演奏できるかがポイントだと思います。 ヴァイオリンは出場者それぞれの楽器が違うので音色も違うのは当然ですが、ピアノも同じ楽器を弾いても演奏者によって相当に音色が違って聴こえます。モーツァルトの演奏では特にその違いを顕著に感じられると思います。音色の違いからその人の人となり等を想像しながら聴いていただくのも面白いと思います。(村上満志さん)村上 満志さん仙台フィルハーモニー管弦楽団常務理事・演奏事業部長AQQA今回の仙台国際音楽コンクール、課題曲を聴く上でのポイントは?

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