季刊まちりょくvol.19
6/84

41947年仙台市生まれ。仙台第二高等学校、早稲田大学第一文学部卒業。フリーのイラストレーターを経て、絵本作家となる。1997年、『でんしゃにのって』(アリス館)で厚生省中央児童福祉審議会児童文化財特別推薦を受ける。2001年、『どんどこももんちゃん』(童心社)で第7回日本絵本賞を受賞。現在、小学1年生の国語教科書(東京書籍『あたらしいこくご』)に「あめですよ」が掲載されている。作品に「しろくまパパとあそぼう」シリーズ(岩崎書店)、「うららちゃんののりものえほん」シリーズ、「ワニのバルボン」シリーズ(アリス館)、「ももんちゃんあそぼう」シリーズ、「おいしいともだち」シリーズ(童心社)、「ぽかぽかおふろ」シリーズ(ひさかたチャイルド)ほか多数。みやぎ絆大使、晩翠わかば賞・晩翠あおば賞選考委員などを務める。東京都在住。とよたかずひこ 母校・仙台二高の前で。当時の二高のプールは進駐軍の払い下げで、大きくて立派だった。そのプールでおぼれかけた少年こそ、とよたかずひこ君であった。 とよたさんは高校時代、合気道部で文武両道の3年間を過ごした。「高校の道場は柔道部と兼用だったから、道場がふさがっているときはみんな裸足で澱よどみ橋を渡って、広瀬川の河原で稽古していた」のだという。その場所に足を延ばしてみると、そこには木々のやわらかな芽吹きと水の流れ、これぞ仙台の春という風景があった。「ここだったね。空気は昔と変わらないな」ととよたさん。しばしの後、「こんなに川音がいいんだねえ。高校生のときは何も感じていなかったんだな」。およそ半世紀を経ての発見である。 ふだん何気なく眺めているまちの風景だが、思い出を聞きながらたどってみると、そこにはたくさんの物語が隠されていることに気づく。それらの物語の、なんと生き生きとしていることだろう。豊かな気持ちになりながら、再び自転車のペダルを漕いで帰路についた。合気道の稽古をしていた広瀬川の河原(澱橋付近)。部員一同、裸足で川を渡り、中州で撮影した写真も残っている。

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る