季刊まちりょくvol.19
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3絡が行ったのだという。苦い経験をしたとよた少年には悪いが、今の時代からしてみると、おおらかだった昭和の仙台を思い起こさせる話でもある。生まれ育った宮町にて。「近所に、とうもろこしを焼いて売っている店があったんだよ。冬はどうしてたのかわからないんだけど(笑)」。その記憶もベースになった新刊の絵本『とうもろこしくんがね‥』(童心社)を手に。かつて天文台があったあたりで、小学生時代の「天文クラブノート」を見返すとよたさん。緻密な絵と丁寧な文字が記されている。絵本作家の才能はこの頃すでに芽生えていたようだ。 西公園を後に、仲の瀬橋を越え、とよたさんの母校・仙台二高へ。とよたさんが在学した昭和30年代後半、二高には当時珍しかった全館スチーム暖房が完備され、「そこにみんな弁当を置いてあっためるんだよ」。桜の季節になると近所の幼稚園児がやって来て校庭でお花見をしていたこと、進駐軍払い下げの50mプールでおぼれそうになったこと、図書館には教職員の中で唯一の若い女性(司書さん)がいたこと……さまざまな記憶が語られる。

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