季刊まちりょくvol.19
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35い。それを見てみたい。けれどもいずれにせよ、暴力が舞台を支配するものであっても、観客に殴りかかってくるものではなかったことは物足りないと感じるところである。 冒頭、繭の中の女性が鈍器で殴る床に忽然と死体が現れ(るように見え)、バージンブルース響き渡る暗転を挟んで別の女性が(別の場面にもかかわらず)平然と床の血だまりを拭いている、という一連の流れはとても秀逸だった。これからどんな物語が始まるのだろうとゾクゾクした。暴力へのあこがれが、アングラ的やり口と、白く美しい看護という対照的な(且つ結びつきやすい)劇世界を創りだしたのだとするならば、そのあこがれの行く末に期待しつつ、同世代として焦燥を持って共に走っていきたいと思う。<公演情報>2015年5月1日(金)~3日(日・祝)会場/せんだい演劇工房10-BOX box-1脚本・演出:工藤麻美子出演:高橋舞優、嶋貫綾香、増田冴耶

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