季刊まちりょくvol.19
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19 「仙台クラシックフェスティバル」は今年10周年を迎える。仙台市内の様々な会場を利用して、50分程度の短い時間のコンサートをたくさん行う。コンサートホールだけでなく、地下鉄駅でのコンサートなども行われ、仙台市内がクラシック音楽の響きに包まれる。それはまさに「楽都」仙台の名にふさわしい音楽イベントだと思う。 クラシック音楽の歴史はとても長い。伊達政宗が慶長遣欧使節を派遣した時期、ヨーロッパではオペラが誕生し、バロック音楽の時代を迎えていた。18世紀には古典派が、19世紀にはロマン派音楽が盛んとなる。そんな長い歴史を持つ芸術だけに、作曲家の数も多く、作品も多彩で、使われている楽器もかなりたくさんある。 その多様な音楽を知るには、やはり時間がかかるし、基本的な知識も必要になる。ハードルが高そうに思える。しかし「せんくら」では、実際の演奏を聴きながら、クラシックの魅力を知ることが出来る。それは、演奏される作品の多くがクラシックの代表的な名曲で、その音楽の魅力が分かりやすいから。そして演奏も高いレベルだからだ。音楽に親しむ時に、やはり生で演奏を聴くというのが一番良い。それをとても低料金で楽しめる点も「せんくら」ならでは。 コンサートの会場も、通常のクラシックコンサートに使われていないような小さな会場もあり、そこでは演奏家の息づかいまで聞こえて来るような親密さがある。様々な会場で音楽を味わうことが出来るという点も「せんくら」の魅力である。そして、演奏会後のサイン会なども多く、演奏家と聴衆が直接触れ合えるという点も良いと思う。 仙台では仙台国際音楽コンクールという世界的なコンクールが3年に一度開催されており、その出身者も「せんくら」に参加する。そうした若い才能を育てる場としても「せんくら」は重要である。クラシック音楽の魅力は無尽蔵で、人生を豊かにするもの。その魅力をもっと広く伝える音楽祭になっていってほしい。片桐 卓也 かたぎり たくや1956年生まれ。「音楽の友」などクラシック音楽の専門誌に演奏家のインタビュー、公演レポートなどを執筆している。その他、コンサートの曲目解説の執筆、クラシック音楽の講座なども行っている。せんくらの魅力寄稿片桐 卓也(音楽ライター)

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