季刊まちりょくvol.17
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28art reviewやんや 宮一女OG合唱団が、第15回定期演奏会を開いた。宮城県第一女子高等学校の同窓生を母体に結成された合唱団で、2年ごとに演奏会を開催している。今回は、30周年の節目の演奏会になる。 演奏会当日、外では強風が吹き荒れていたが、会場は満員。期待の高さをうかがわせた。 開幕は、この合唱団が1988年に中田喜直に委嘱した女声合唱曲「天の弦」。抑え気味の美しい響きで、この作品の内面的な美しさを切々と歌い上げた。ただ、もう少し表現の幅を広げ、メリハリを利かせてほしい感じもした。 続いては、信長貴富編曲による北原白秋童話詩集のステージ。「赤い鳥小鳥」、「たあんき、ぽうんき」など、可愛らしくユーモラスな感じが出ていた。特に「揺籠のうた」は、優しい雰囲気がこの合唱団にマッチして、情感あふれる演奏を味わえた。ピアノの音色も非常に美しかった。 一転して、現代的な響きの「蝶」より。蝶の誕生からの一生を描いた伊藤海彦の詩に中田喜直が作曲した曲集である。このような、音程の取りにくい作品に挑戦する姿勢は立派だが、ソプラノの音程が下がり気味だったのは残念だった。 休憩後は、衣装を替えて、やなせたかし作詞、木下牧子作曲による「愛する歌」のステージ。「ロマンチストの豚」では、軽快さや楽しさが、「雪の街」では、ほのぼのとした味わいがよく出ていた。「さびしいカシの木」では、悲しみとともに、雲が流れていく感じが見事に表現され、際立って美しい演奏だった。 数年前から交流している賛助出演、仙台一高OBの茶畑男声合唱団は、石丸寛編曲「スペインの歌」を披露。やや荒削りだ情感あふれる演奏宮一女OG合唱団 第15回定期演奏会宮城 純一(作曲家)仙台・宮城で開催された文化事業をレビュー(批評)としてご紹介します

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