季刊まちりょくvol.15
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4仙台市生まれ。東北生活文化大学名誉教授。東北をフィールドに、「民具」や「生活文化」の調査研究に携わる。おもに女性の「衣生活史」(仕事着)、「仙台七夕」など、庶民文化の掘り起こしと再評価に情熱を注ぐかたわら、テキスタイル(織物)作品制作も手がける。日本民具学会、民族藝術学会所属。おもな著書に『仙台七夕まつり―七夕七彩』((有)イー・ピー「風の時」編集部)、『仕事着―東日本編』(共著、平凡社)、『みやぎの女性史』(共著、河北新報社)などがある。近江 惠美子 おうみ えみこ 染工場を後に、七郷堀に沿って舟丁へ。「子どもの頃、舟丁に『南なんがい街劇場』という映画館があって、家族そろって映画を観に行きました。堀沿いに歩いて行ったり、父親の自転車に乗せられて行ったり」と家族との思い出が残る地だが、その跡地には近代的なビルが建っていた。 その向かいにある仙台駄菓子の「石橋屋」も、近江さんにとって思い入れがある場所。というのも、就職して初めて書いた研究論文が仙台駄菓子に関するもので、石橋屋に取材して詳しい話を聞くことができたのだという。いわば研究生活の入り口となった店を訪れ、「不思議なめぐりあわせを感じます」という近江さんの言葉が印象的だった。 幼い頃の記憶をたどりながらの今回の散策。すっかり変わってしまったものと、今もなお残るもの。その両方を感じることができた、充実したまち歩きだった。仙台市景観重要建造物に指定されている舟丁の「石橋屋」。店の横に枝垂桜があり、春には堀の水面近くまで美しい花が咲き誇る。

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