季刊まちりょくvol.14
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2 6歳の時にコンサートマスターにあこがれ、ヴァイオリンを始めた西本幸弘さん。留学先のロンドンから帰国する際、仙台フィルのコンサートマスターの神谷未穂さんとの縁でオファーを受けて即快諾、夢をかなえた。 雪がちらつく1月上旬、定禅寺通に面したカフェで西本さんと待ち合わせた。細い階段を上がるとヨーロッパの趣が漂う店内からジャズが漏れ聞こえてくる。 「その日のことをその日中に整理したいので、毎日定禅寺通を歩いてクールダウンしています。散歩の途中でこの店を見つけたんですが、空間のデザインにこだわっていて、音楽も素敵で落ち着けます。昼はスイーツとコーヒー、夜はワインといっしょに食事をすることも。なかなか休みがとれないので、カフェにいる時や、食事をしたり人と話をしている時が僕の休日です」という。一曲入魂の真剣勝負、だからこそ心身の疲れを癒し『cheer up』(元気になる)ための時間が必要なのだ。 カフェを出て勾当台公園に寄り、定禅寺通を歩く。札幌出身の西本さんは肌を刺す冷たい風も気にせず、「勾当台公園は中学の修学旅行で来て、すごく楽しかった想い出があります。仙台は暑すぎず寒すぎず、雪も少ないのに、四季をしっかり感じられます。空が広く感じるのが好きです」と話す。自然が好きで大きな公園のそばに住みたいと、勾当台公園に程近いマンションを選んだ。部屋の窓を開ければ空が広がり、仙台市街が望める。「音楽と自然が調和する感覚や、広い空間を意識して演奏するのが大好きで、カーテンを全開にして練習しています」。2年以上住んだ仙台は「各地に約16年前に修学旅行で訪れた勾当台公園は「当時と変わっていない」と懐かしむ。雨が降るなかで、傘を持ちながらハトを追いかけている写真が実家に残っているそう。窓側の席から勾当台公園や定禅寺通が望めるCafé et Bar Deux(カフェ エ バール ドゥー)。「何でも美味しいし落ち着いてゆっくり話ができるので、中学、高校時代の友人を仙台で迎えるときにも一緒にここに来ます」

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