季刊まちりょくvol.14
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ただ仙台地方の方言は、城下、在郷、海岸地帯などさまざまで、まだ整理ができていないように思います。それを専門の研究者と市民の連帯で、新しい視点から整理し、継承していく必要があるのではないでしょうか。 この『仙臺郷土句帖』も市内の学校において、仙台弁の教材として永く使ってもらえることを希望しています。(2014年1月16日取材)弁、東北弁はズーズー弁と言われて蔑視の対象にもなりましたが、その土地から生まれた言葉を使い、親しむのが、その土地で生きる人々の当たり前の幸せと思い、胸を張って語ってほしいです。「さようなら」より仙台弁の「おみょうにち」のほうが情が伝わるんですよね。そういう立派な言葉があるのに、それを使わない手はない。渡邊愼也さんお気に入りの郷土句渡邊恒子さん(夫人)お気に入りの郷土句15釈迦堂の胡麻餅恋し花こひし多田 駿お名月ッアンあんちやんもドゴデガ見ですペネ北村詠草ホレホツチヤブグレツチヤアミココツチヤモテコ片倉信光 食べ物の味や有名な花どころというのは、いつまでたっても記憶が消え失せないものですね。(「釈迦堂」は旧宮城県図書館の場所にあった仏堂。その近辺に名物の胡麻餅屋があったという。) それ!(魚を)そっちに追いこめ!追い込んだから、早く網をもってこい! 私たちの広瀬川の川遊びそのものを言葉とした句。広瀬川の名句選というのがあれば、第一位に選んでもいいような、素晴らしい郷土句です。 戦地のお兄さんに思いをはせた句。感傷的にならずうまく詠んでいますね。夏雲のうつつて凉しガラスぱご天江富彌する臼すびき豊年唄でヨイコする 鈴木 保 夏の日の広瀬川の美しさ、子どもたちの様子が伝わってきます。 「ガラスぱご」は「ガラス箱」。水中眼鏡のようにして、魚とりや川遊びに使った。 ヨイコ(結ゆい)こ=共助仲間と作業すること。豊年唄を唄いながら、土製の摺臼で籾を挽いている。 はじめは読み方もわからなかった句の一つです。歴史民俗資料館の佐藤室長に教えてもらい、「略解」に載せられました。なお、単語の下に「コ」のつく言葉は、句帖で60以上もあります。13輯には「江戸繪コ」なんていうのも目につきました。(江戸繪=江戸で作られた一枚摺りの錦絵)

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