季刊まちりょくvol.13
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27黒の天空へ向けてその言葉は奔流となって走り出し、観客を飲み込み巻き込んで無重力の世界へと連れて行く。宮澤賢治を敬愛してやまなかった石川氏の独壇場だ。女優陣は「そこまでやるか」のあっぱれな演技で劇的時間を牽引し、華を添えた。さらに高橋裕介による品の良い丁寧な舞台美術と髙橋亜希のメリハリある照明が空間を支えた。「裕人さんが見たら何て言うだろう」と誰もが頑張ったのだろうと推察する。そんな後輩たちの頑張りと相あいま俟って、おじさん、もといベテラン役者陣の驚異的な「抜け感」と闊達さが生きた。 石川氏との関係を「お釈迦様と孫悟空」と小畑氏が語ったように、戯曲という手のひらの上で石川氏に見守られながら役者という子供たちが安心して遊んでいるかのような、微笑ましさと愛すべきバカバカしさ(←ほめ言葉です)に満ちた舞台だった。(初日を拝見)<公演情報>日程/2013年11月8日(金)~9日(土)会場/エル・パーク仙台スタジオホール原作:石川裕人演出:小畑次郎出演:砂拉三駄、望月はるか、菊田由美、菅原玄哉、上島奈津子、箱崎貴司、小畑次郎写真/松橋隆樹(geborene kampfer)

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