季刊まちりょくvol.13
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24art reviewやんや 台風一過、1週間振りに青空となった10月27日、ソプラノ・デュオで聴くバロック音楽vol.2が開催された。仙台を中心に活躍中の高橋絵里さんと千石史子さんの企画による、あまり知られていないバロック期の声楽曲にスポットを当てるシリーズの2回目。今回はゲストに3人目の歌手が加わり、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェンバロと共に、多彩なプログラムと響きで楽しませてくれた。宮城野区文化センターパトナホールは天井が高く、響きが豊かで、この編成に相ふさわ応しい会場だった。 プログラム最初は、ヘンデルとパーセルの二重唱3曲。高橋さんのソフトで太い声と、千石さんのやや細めで明るい声の組み合わせが面白い。パーセルの「抵抗しても無駄なこと」では、ヴィオラ・ダ・ガンバのピッチカートに乗せて、様々な感情の変化が軽快に演奏された。同じパーセルの「こよなく美しい島」は、高橋さんのソロ。ノンヴィブラートの高橋さんの素直な美しい歌声と、同じくノンヴィブラートで奏される田中孝子さんの見事なガンバ演奏により、バロック音楽の醍醐味を味わうことができた。 続いてはチェンバロ独奏によるフローベルガー「組曲第18番」。特に、アゴーギク(テンポやリズムの微妙な変化)のつけ方が見事で、歌心満載のフローベルガーを楽しめた。 次のモンテヴェルディとヘンデルの二重唱では、特に、メサイアにも登場する「もう信じない お前なんて」が馴染みのメロディーで、速い音形でも乱れることのない二人のソプラノの歌が見事だった。 休憩後は、先ず、ゲストのメゾソプラノ小野綾子さんが加わった三重唱。第1部で上手にいた高橋さんが下手に移り、小野多彩なプログラムと響きを楽しませてくれた演奏会聴け、鳥の歌を ~ソプラノ・デュオで聴くバロック音楽vol.2~宮城 純一(作曲家)仙台・宮城で開催された文化事業をレビュー(批評)としてご紹介します

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