季刊まちりょくvol.13
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いろな場面でも被写体と落ち着いて向き合えるようになりました。あと、プライベートで撮るものなど、表現することが面白くなりました。◎写真展でストレスを解消?!――13年の活動のうち、写真展は17回開催しています。伊藤:写真のテクニックを持っている人ばかりなのに、見せ場がないので辛いだろうと思って(笑)、ストレスをためないように、写真展をすることは最初から企画していました。最初は撮りためたものでしたが、「階段」「坂」「店」などテーマに決めて開催しています。「せんだいスケッチ集団」(代表・柴田治さん)と共催して、描かれている場所と同じ写真を展示したり。小滝:写真展を見に来てくれた人の反応が良かったのは夜景のシリーズのとき。仙コレでも夜景は初めてで、光と影のある日中しか撮ってきてなかったので自分たちにとっても新鮮でした。伊藤:実は写真集Vol.2の表紙にもなっている文化横丁の写真は、たまたま写真展に来てくれた人が「自分の店が写っている!」と喜んで写真集を買ってくれました。小滝:実は写真を撮るときに家主に断わっていないんです。それでも見に来てくれたとき、自分の家や近所が写っていると喜んでくれたりしますね。でも、どういう状況で撮ったとか、写真の意図やテーマを聞かれて、「分からない」と答えると大抵驚かれます。片倉:誰が撮ったかも分からなかったりしてますからね(笑)。13◎変化して気が付く喪失感と価値――震災を経て、仙コレの取り組みが注目されました。伊藤:東日本大震災後に、多くの人から仙コレの取り組みは大事なことだ、貴重な写真になったなどと言われるようになりました。沿岸部の写真はあまりなかったので、私の中では津波の被害の大きかった大震災とあまり結びついている気がしなかったのですが、街なかの人にも喪失感があって、見る側の意識が変わったのかもしれないですね。私は特に今回の震災があって仙コレの価値が変わったという意識はないんです。佐々木:変化して初めて、なくなった景色や記録の価値に気が付くこともあります。撮った自分も後になって撮って佐々木隆二 (ささき・りゅうじ)1940年気仙沼市生まれ。写真歴50年。写真集『風の又三郎』出版、『宮城庶民伝』(NHK出版・共著)、河北新報夕刊に「きょうはバス日和」連載。写真全部を俯瞰したときに仙台の街になる。

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