季刊まちりょくvol.13
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11る人間同士、真剣に見て議論しましたから。小滝:創設当時からのメンバーですが、始めたばかりのころは、ルールに沿って撮影することが窮屈に感じました。個性を出さないとはどういうことをいうのか。とりあえず、エリアを決めて片っ端から撮ってみましたが、やはり並んでいる建物の全部は撮っていない。それは何故だろうと考えますよね。3年くらいは修行僧みたいな感じでした。佐々木:カメラを向けた時点ですでに選択しているわけですよ。ここがいいと思った時点で自分の好みが出るし、どう切り取るかというのもあります。◎無個性に撮り続けるために伊藤:理想は、ぶらっと街に出てぱっと撮ること。でも今日は撮ると決めないとなかなか撮れない。何も考えないで撮るのは無理なのかもしれないけど、あえてルールとして無個性になろうということです。それに挑戦するために、場所だけは決めるけど、とにかく歩きながら選ばないようにして撮っていますね。一度撮りに行ったら、その街の商店街の端から端まで撮るなど、工夫しました。片倉:私も「今日はここに行くぞ」と、場所と時間を区切って撮影しますが、そのときは機械の目を持とうと思いながらやっています。短い時間で集中しないと、エネルギーが切れる。気分を変えるために、仙コレ用の写真とは別なカメラで撮ってみることもありますよ。佐々木:いい風景に出合ったら、私も自分用に分けて撮りますね。その景色はそのとき撮らないと撮れないですから。小滝:カメラを持つ人間としてはそういう思いはありますね。伊藤:僕はそこまで器用じゃなくて…。今日は仙コレと決めて、切り替えないでやっています。――撮影場所は自由なんですね。伊藤:誰がどの場所を撮るのかという打ち合わせはほとんどしないですね。最初のころは月に1度集まって、写真の場所を確認し合ったり、まだ写真のないエリアを情報として提示したりしていました。佐々木:みんなで集まって、撮影会のように手分けしてエリアを撮ることもありました。伊藤トオル (いとう・とおる) 仙台コレクション代表(プロフィールはP.8)震災を経て、見る人の意識が変わった。

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