季刊まちりょくvol.12
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3だウィークリーマンションと劇場を往復して仙台の演劇人とともに舞台をつくりあげていった。「仙台は本当に居心地が良かったです。昼は芝居の稽古をして、夜は仙台のいろんな劇団の公演を観て、知り合いもどんどん増えていって楽しかった(笑)」 その後2001年に創設された「仙台劇のまち戯曲賞」では、せんだい演劇工房1テン0-BボックスOXで公開審査が行われ、宮田さんは審査員のひとりとして10-BOXをたびたび訪れた。10-BOXは全国でも珍しい演劇の練習施設であり、運営面も演劇人たちが関わるなど独自のシステムを採用している。 「『仙台は10-BOXがあるからいいよね』ってみんな(=全国の演劇人)が言うんですよ。とにかくここが素晴らしいのは“たたき場”(※4)があること。そして、自分たちの手でつくった空間だという空気があっていい。演劇が日常に密着しているってこういうことなんだなと感じます」と宮田さん。「何をつくってもいいよと受けとめてくれる安心感があるから、ここに来ると10-BOXにある資料室の扉や壁には、ここを訪れた演劇人たちのサインがびっしりと記されている。宮田さんのサインも(写真右)。ほっとするし、演劇をする環境がこれだけ整っているのはすごい」と宮田さんは語る。 だが一方で「いま、仙台を含め全国的に演劇って残念ながらいっときのピークを過ぎている」とも。「そんななかで演劇の魅力を広めていくには、今の若い人たちがおもしろいと思う表現形態と演劇とを結びつけたり、それも一方通行の発信ではなくて、いろんな人やものを巻き込んだりして“耕しなおす”ことをしないと。その意味では、日立システムズホール仙台(青年文化センター)は、10-BOXが開館する前、1996年からほぼ毎年演出のために通った劇場。「このあたりでみんなといろんな打ち合わせをしました」と宮田さん。

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