季刊まちりょくvol.12
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2 演劇が盛んで「劇げきと都」とも言われる仙台。その仙台の演劇界には、かつて「宮田さんの季節」があった。劇都仙台事業(※1)の演劇プロデュース公演(※2)を、宮田さんの演出でつくり上げた数年間だ。そこで鍛えられた俳優・スタッフたちは、仙台のいまの演劇を支え、後進を育てるまでになっている。その後も「仙台劇のまち戯曲賞」(※3)の審査をはじめ、劇都仙台に向けてアドバイスやエールを送り続ける宮田さんは、仙台の演劇を語る上で欠かすことのできない存在だ。 東京に生まれ育ち、東京の劇団に所属する宮田さんが仙台の芝居の演出を最初に手がけたのは1996年。「最初は地域の演劇をどうこうという思いはそれほどなくて、おもしろそうだという直感でスタートしたんです(笑)。ただ実はその前に京都に滞在して仕事をさせていただいた経験があり、“滞在型”でものをつくるってとても豊かなことだと思ったので、仙台でもそんなかたちでとお話ししたら、皆さんがものすごく意欲的で!」 それから数年にわたって、宮田さんは愛車で仙台入りし、毎回1か月半ほどのあいせんだい演劇工房10-BOXにて。「今、若い劇作家は家に籠ってひたすら好きに書いていたいという人が多い。でもそれだと良い作品が世に出ず、演出家も仕事ができない。戯曲賞の意義のひとつは良い戯曲を現場に“さらしていく”機能だと思います。仙台の戯曲賞では大賞の受賞と上演をセットにしましたよね。仙台から巣立った劇作家が今や演劇界で大活躍しているのは、その試みが実を結んでいるということだと思います」

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