季刊まちりょくvol.12
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15舞台監督助手:石井忍さん(㈲舞台監督工房) 前回公演での関わりは、搬入・搬出アルバイトのとりまとめという形でした。仕込みの日と撤去の日の始まりと終わりだけでしたが、そのとき初めて舞台監督の菅原多敢弘さんをお見かけして。業界では有名な方なので「この方か!」という感じで遠巻きに見ていました。いろいろ教わりたいとか、盗みたいなという部分があって、チャンスがあればと思ったのですが、なかなかできませんでした。舞台を実際に見た印象は、例えばあの装置はどうなっているんだろうとか、この照明は、とかそういうところばかりでした。独特な舞台だったし、照明の青がすごく綺麗だった印象が残っていますね。なかなか普段関われないような舞台だったので楽しいというか、勉強になったと思います。 今回は菅原さんの助手として関わることになって、巡り合わせを感じますし、すごく意義を感じます。船を作って、船には幕府側の人間も乗っていたりして、いろいろ共同作業で地球の裏側まで行ったんだろうなと考えるとすごく意義を感じるし、今度こそ菅原監督から色々教わりたいとか、東京のスタッフの方々とご一緒して、僕にとっても仙台のスタッフにもいい経験となって、それをまた仙台に返していけたらなという思いがあります。 結局、道具とか照明とか音が素晴らしかったというのは出てくるのですけど、舞台監督チームが目立つというのはあまりよろしくない。お客様が気づかないくらいスムーズに楽しんで、喜んで帰っていただければいいですね。不思議な職業ですが(笑)。森忠治さん(舞台プロデューサー/トライポッド代表) このオペラの制作に関わったのは初演のオーディションの時からです。それから合唱団の担当になり、1年くらい練習したのかな。合唱団は14歳から70代の方までいたのですが、皆さんお一人お一人熱心な方ばかりでした。公演まではとにかく大変で、最初は全体像が見えていなかったのですが、合唱の練習が進むにつれて合唱団の方も乗ってきて、具体的に見えてきた時点で、新しい作品の立ち上げに携わっているという意識が芽生えてきたので、それはすごく印象に残っていますね。 このオペラの仕事をさせていただく前に、すでに高橋睦郎さんの「遠い帆」は出版されていたので、それは読んでいました。詩的な言葉で書かれている文章というかテキストだったので、これをどんな風にオペラにするんだろうな、と思っていて。三善先生の曲が入った時点でそのテキストが生かされていたので、曲とテキストのバランスがすごく良い作品だと思っています。 もともと初演の時のクオリティが高い作品で、高く評価していただいて、三善先生がサントリー音楽賞を受賞したりして思い入れがあるので、13年ぶりに生で見られるということでわくわくしています。大勢の人々がそれぞれの思いを持ち寄って作り上げるオペラ「遠い帆」。舞台公演は観る人がいてはじめて完成します。ぜひ、皆さんも観客として参加してみませんか?最新情報はWebでどうぞ! オペラ「遠い帆」ホームページ http://www.toiho.info/

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