季刊まちりょくvol.11
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6 「おはなしてんとうむし」は、1993年に発足した語り手のグループです。現在9人のメンバーが、おもに子どもたちを対象にしたおはなし会で、「ストーリーテリング」と言われる手法を用いて昔話や児童文学などを語っています。 「ストーリーテリング」は、絵本や道具、身振り手振りなど、視覚に訴えるものをいっさい使いません。語り手はまず物語を記憶し、想像力を働かせて自分の中にその世界を作り、それを声だけで伝えていきます。そのポイントは「自分の個性に合った物語の特性を生かした語り方」だと代表の山田仁子さんは言います。語るうちに、子どもたちが目をきらきらさせてお話の世界をイメージしていく様子や、主人公と一緒になって物語の中を冒険する様子が手に取るようにわかるそうです。そんな反応があったときは、「伝えられた!」という喜びがあり、「こちらのほうが子どもたちから力をもらうんです」とメンバーの皆さんは声をそろえます。お話の内容が、語り手の声や表情、雰囲前列右が代表の山田仁子さん、同左 冨田宏子さん、後列右から安倍照恵さん、藤元悌子さん、荒川幸子さん仙台市内ではさまざまなグループが声にまつわる活動をしています。その現場にお邪魔しました!気などと一体となって聞き手の記憶に長く残るのも「語り」の特徴のひとつ。 「震災の後、昔話や言い伝えが改めて見直されましたが、そのような『語り継がれたもの』は残っていくんだ、と実感しました。大事なことは人の言葉で残さなければならないと思っています」というメンバーの方のお話が深く心に刻みつけられました。おはなしてんとうむし第1部声が集う場@仙台仙台文学館の夏休み企画「こども文学館 えほんのひろば」でのおはなし会の様子

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