季刊まちりょくvol.11
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25 児童合唱は、期間限定の歌声である。時間はとめどなく流れ、みんな大人になっていく。 その過程の、ほんのひとすくいの時間の歌声だからこそ、より一層の輝きを放つ。出演していた合唱団の子どもたちは、今、このとき感じているすべてを歌にのせて観客へ届けてくれた。 有名な歌、古い歌、外国の歌、様々な種類の歌を、大人びた表情で歌い上げたかと思えば口をいっぱいに開け元気な声で響かせる。その音は柔らかでまっすぐで、耳にすっと入り込み心を満たしていく。プログラムの中、歌ったことのある曲も多くあった。自分でも驚くほどに覚えている歌詞につられて、子どもの頃の記憶がゆっくりと甦る。何とも心地よい時間だ。 満員に近い会場の中、一生懸命歌う姿に涙する人も、友達を見に来た小さな子どもたちも、各合唱団へ惜しみない拍手を送っていた。 終わって外に出ると、まだ明るい。そして日差しも暖かく感じられる。「キラキラ輝く歌声にのせて」春もそこまでやってきた。(編集部A.S)児童合唱コンサート「キラキラ輝く歌声にのせて」公演日程/2013年3月30日(土) 会場/青年文化センター コンサートホール主催:ミュージックプロデュースMHKS 出演:つくしの会児童合唱団、まほろば少年少女合唱団、マリン・ミュージック、ゆずりの葉少年少女合唱団、清野学園 東仙台幼稚園・東盛幼稚園 園児合唱団、田原さえ(司会・ピアニスト)音 楽 大前裕太郎(仙台市出身)と椎野純のダンスデュオ「キニナルキ」の企画・振付によるダンスパフォーマンス。3月の東京公演に続く仙台公演を拝見した。 舞台の効果は音楽と照明のみ。大前・椎野含め11人の出演者は全員10代から20代の若者のようだ。お料理や電話など日常の中にある動きのユーモラスな表現に始まり、約1時間の公演の間、ひたすらダンサーたちは時に静かに、時に激しく、踊る、踊る。ひとりひとりの動きや表情を追っていくうち、わあ、彼らは心からダンスが好きなんだ!と感じ、こちらもいつの間にか舞台に入り込んでいることに気づく。 生まれもったセンスに加え、ふだんの鍛錬もあるのだろうが、ダンサーの身体ってすごい、とびっくりする。ダンスをあまり見たことがない筆者でも十分に楽しめた。 オープンして約半年のまあたらしいホールは、若々しさあふれる今回の企画にぴったりな印象。衣装もシンプルで好ましかった。 帰途につくと、余韻を楽しんでね、と言わんばかりにぽつりぽつりと雨が降り出した。(編集部M.H)ぽんこつポン太郎の愉快な宴 ダンスパフォーマンス「降らなければならない雨の横で」(仙台公演)公演日程/2013年4月20日(土)~21日(日) 会場/宮城野区文化センター パトナシアター企画・振付:キニナルキ 出演:香取直登、木場裕紀、重松悠希、雨間弓奈、高田真理子、三浦奈綾、遠藤夏姫、西垣沙綾、宮本悠加、椎野純、大前裕太郎ダンス

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