季刊まちりょくvol.11
15/76

131933年仙台市生まれ。能楽を嗜んだ父の影響で幼少期より能の稽古を受ける。故・木原康次、故・木原康夫に師事。仙台市役所入庁後、教育局体育振興課長、市立病院総務課長、太白区福祉部長などを歴任。現在、仙台市能楽振興協会会長、仙台観世会会長などを務める。観世流名誉師範。るようにと言われ、むやみに力んで声を出すのではなく、遠くのほうまではっきりと通るような底力のある声を目標に練習をと教えられたと思います。稽古の最初は、先生の一句ずつを口うつしで習い、正確に謡うようにしましたが、まず大事なことは声を出して謡うということに興味を持つことでした。なかなか声が出せない、出す勇気がないという方も多いかもしれませんが、それがひとつの訓練です。そして徐々に曲趣を理解し、「気分」や「位」を会得することを目標に稽古を重ねられるといいと思います。「気分」は複雑な想い、「位」は重さ、深さ、美しさ等の表現の差による謡い方があるのです。東京の観世能楽堂で謡を披露する萩原さん萩原 邦明さんこのようなことからも、ひとつの世界に到達するまでは大変ですが、ぜひ多くの方に日本の古典芸能・伝承芸術である「能」の魅力に関心を持っていただきたいと期待しております。現在は、街のカルチャーセンターや能-BOXなど、さまざまな場所で能の仕しまい舞・謡を習ったり、体験することができますね。関心のある方はぜひ実際にご覧になって、ご自身で能に触れてみて楽しんでくださるようお願いします。

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る