季刊まちりょくvol.11
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8⇒P.10から声のアートで活躍する方々 のインタビューを掲載しています現在、若者に人気の職業のひとつである「声優」。仙台でも声優を目指す人を対象とした専門学校や養成機関がありますが、今回お邪魔したのは「SENDAI座☆プロジェクト」(※)が主催する声優塾です。講師は俳優・声優として活躍する樋ひわたり渡宏こうじ嗣さん。この日は2時間にわたって7人の生徒さんがレッスンを受講。ストレッチに始まり、発声や呼吸法、滑舌のトレーニングを40分ほど行った後、海外の映画の吹き替えを練習しました。スタジオ内のマイクの前で、画面を見ながらイヤホンで元の音声を聞き、日本語の台せりふ詞を当てていきます。一見簡単そうに見えますが、まず俳優の口の動きに合わせて喋ることからして容易ではないことが分かりました。ふつうのお芝居と違い、声優たちが横一列に並び、顔を合わせずに会話を交わすのも特殊です。先生からは「画面の広がりや距離感、立体感などを出して」「アドリブを入れて」といった指示が出て、受講生たちは同じ場面を何度も繰り返し練習しながら表現を試し、学んでいきます。樋渡さんによれば、「日本の吹き替えは耳だけでも楽しめるほど精度が高い」とのこと。そのようなひとつの“声の文化”と言ってもいいものが、このような地道な努力から生まれていくのですね。 ※1 「仙台のど真ん中に小劇場をつくるんだ!」を合言葉に、2007年に仙台を拠点に活動する俳優・樋渡宏嗣、渡部ギュウが中心となり設立した演劇カンパニー。地域劇場〈SENDAI座〉の開設という大きな夢を掲げて、現代演劇の面白さを紹介するプロデュース公演や、若手俳優育成のための俳優養成所の運営を行っている。 SENDAI座☆プロジェクト声優塾講師の樋渡宏嗣さん。「声の表現は、体の動きや表情が一切使えないので難しい。昔は“芝居ができない役者は声の仕事はするな”と言われたぐらいです」受講生は10代から20代の若者。入塾して1か月の受講生から1年以上在籍している人までキャリアはそれぞれだが、熱心に練習に励んでいる。

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